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星を繋ぐ猫達《第8章27 アディオス 》

2018.08.18 03:31


先週の猛暑は、どこへやら?いきなり涼しい気候に…?扇風機だけで過ごせるのが、嘘のようですね。





画像は、1枚目は、2018年の個展にて発表しました。猫曼荼羅「雲外蒼天」



2枚目は2016年個展作品「美しきメッセンジャー2」(こちらの原画は、高円寺、猫の額さんで実物をご覧いただけます)


※原画作品、ポストカード、招き猫作品は、猫の額さんで、販売しております。



では、続きをお楽しみください。




《第8章27 アディオス》


明朝、いよいよ、カミシロ族達が、地球を離れる日が、やって来ました。村人総出で、見送ります。


村長は、祭りの後、村人達に、調査隊の調べにより、鬼が宇宙人であった事と、誤って封じ込めてしまった事を伝えたのです。村人によっては「宇宙人だなんて、おっかない、鬼伝説の方がよほどマシ」「架空の物語として夢を持たせてほしかった。残念だ」等と、存在する現実と、よくわからない恐怖心からか、認めたくないと、心無い言葉を放ち、断った者もいました。


はたまた、事実を知り、彼等が、300年ぶりに還る事が出来ると知り、同情する者、是非とも見送りたいと言う者、好奇心だらけの者、村人の大半が、彼等を見送りに宇宙船のある基地へ集結します。 


マゼラン遠隔修理班により、整備された宇宙船は、地下格納庫から出され、巨石群の上に一定の高さを保ち浮き、朝日を浴び、シルバーに輝く百メートル近い楕円形の船に、村人達は、見入っていました。


約100名のマゼラン星人達は、神楽屋から出てくると、猫達の小さな輸送船3機に乗り込み、宇宙船に向かいます。


寅次郎博士達は、車で駆け付け、その後を、松方さん一家の車が…


いよいよ、別れの儀がはじまろうとしています。


初めて、マゼラン星人達を見る村人達、手足が長い以外は、非常に地球人と、よく似ていて、親しみを感じていました。


猫達から贈られた、シルバーの、クリエネルのマントを纏った姿は、とても、かっこよく見えたのです。


松方さんが、何やら大きな桐の箱を、家族総出で、台車に乗せ、センジュ族長の前に持っていくと


「あ、あの、これ、お返しします!」


「これは?」


「先祖が、あなた方の村から持ってきてしまったモノです…」


「しかし…これは、あなた方にとっても、大切な物では…?」


「良いのです…私達の村は、もう、これに頼らなくても大丈夫なんです。で、ですから、星で使ってください!」


「…ありがとう…良い船が造れます」


「それと、これ…」


センジュ族長の目尻が、ふにゃりと緩みました。


「おぉ、これは…」


300年続く老舗の、栗羊羮に、目を輝かせます。


「宇宙船の中で皆さんで食べてください…」


「…ありがとう」


そして、後ろには、千寿一家が…


「さぁ、大きい大きいおじいさんに、御挨拶しようね」


生まれたばかりの、とても小さな赤ちゃんを、抱き抱え、センジュ族長の腕に抱かせます。


「おぉ…なんと可愛い…」


赤ちゃんは、まだ視力の定まらない視線を、族長に合わせ見つめ微笑んでいます。


「そうか、そうか、会えて嬉しいか、私も嬉しいよ。また、地球に来るからね」


族長は、赤ちゃんに優しく話しかけます。


村人達が、一瞬ざわつきましたが、千寿氏は、構わず、


「この子は、祭りの後に生まれた、私の孫です。あなたの面影もあります。そして、こっちは、私の息子。私達は、マゼラン系の地球人として、この星で生きていきます」


千寿氏の息子は、すらっと手足が長く、モデルのよう、そう、あの時、祭りの後の宴会場にいた「もしかしたら、鬼は宇宙人かもしれない」と、言っていた青年です。


「そうか、一緒に帰れないのは残念だが、仕方ないな…」


「地球人のDNAを持っていますから…ですが、私達は、地球人として生まれた事を後悔していません。ようやく、約束を果たせました」


「マナタカ、ヨシツギ、ミライ…ありがとう…」


お互いの肩を抱き合うと、今生の別れの惜しみました。また会おう。と、約束しても、実現するのは更に先…


「間もなく、特別直通ワームホールが開通します。出発準備願います」


寅次郎博士と猫沢さんが、ライトを片手にもち、宇宙船を誘導、カミシロ族達は、宇宙船の扉が開くとマントをたなびかせて、入っていきます。 


出発準備が整い、いよいよ、ワームホールが開きます。


300メートル近い上空の、 何もない空間が、大きな渦を巻き、渦の中心部が口を開けるように拡がると、そこには、まばゆい虹色の光の空間が現れ、村人達は、巨大な美しい光のトンネルに、言葉を失い見つめています。 


宇宙船は、ゆっくり浮上しワームホールの中に吸い込まれたかと思うと、静かに閉じ、何事もなかったように、青空は広がっていました。


寅次郎博士達と、猫沢さん達は敬礼をしながら、暫く、じっと空を見上げていました。千寿一家も… 


「風天(かざま)さん、猫くん…何から何まで、ありがとう…無事に、彼等は、還る事が出来ました…」


千寿氏は、目に沢山の涙をため、寅次郎博士の手を握りしめます。


「良かったです。私達も、ようやく、任務(約束)を果たせました」


側にいた村長が、


「寅次郎さん、ありがとう。天国の親父も喜びます」


「私達の任務は、まだ終わっちゃいません。この瞬間から、神城村は、新しい歴史を刻み始めたんです。これから先、皆の協力が必要です。今後とも、よろしくお願いします」


寅次郎博士は、村長の目を見つめ、しっかと手を握りしめると、村長は、力強くうなずきました。 


それを見ていた、猫庭博士は、昔、よく聞かされた話の中で、祖父、十三郎が、虎之助博士に、星の未来を託された日のエピソードと重なり、まるで、あの頃の、祖父が目の前にいるようだと、思わずにはいられませんでした。


[猫伊虎之助]

かつて、猫の星カンタスカラーナを、カルカナルの魔の手から、守った猫であり[橋渡しの民]そして、現在、彼は、地球人[風天寅次郎]として、生きているのです。


彼の中の、長きに渡るタイムラグの穴が、パズルのように、埋まっていきます。


寅次郎博士は、約20年前の、あの時、心身共に崩れかけながら、この村に導かれるように、やって来た日の事を思い出していました。


導いてくれた猫の星の民、美しきメッセンジャー、女性科学者、ジャッコ博士。


過去の自分が託した、メッセージを託して現れた彼女の想い。


その想いは、ようやく実を結び、(過去)虎之助から(現在)寅次郎へ、時を超え、時空を超え繋がり、本来の力が、発揮されるのです。


寅次郎博士の、周りの周波数の変化を、静かに見つめる猫沢さんは、謎多き[橋渡しの民]の素顔を、垣間見た気がしました。 



(猫沢博士、バミューダ海域に変化が現れました)


上空で、待機するニャンタープライズ号の、アクア操縦士から、テレパシーが届きました。


(了解、すぐ船に戻る) 


「寅次郎博士、私達は、これにて、おいとまします。バミューダ海域に行ってきます」


「…あぁ、君達もありがとう!」


「寅次郎博士…ちょっとお疲れのようですね。これをどうぞ」


猫沢さんは、小さな銀の粒を、数粒、渡しました。彼のホログラムボディー(肉体)は、70年余りの時を重ねているのですから、無理はありません。維持していくには、大きなエネルギーが必要なのです。


「私達の星の疲労回復の実です」


「はは、懐かしい!ありがとう」


寅次郎博士は、早速、口の中に入れました。


「カンタスカラーナの頃を思い出す…この実には、随分、世話になったよ」


「では、また、のちほど、報告します!」


猫沢さん達は、上空に待機する船に乗り込みました。


「寅ちゃん、あの猫達は、一体…?」


まだ、完全に状況を、把握していない、村長の息子、火水斗が、疑問を投げ掛けました。


「そうだったね、君には、本当の事を話さなくてはね…うち来るかい?」


「おお!」


回復の実で、すっかり顔色が良くなった寅次郎博士は、火水斗と共に、屋敷へと向かうのでした。


2015年の冬の入口…新生神城村の歴史は、今、始まったばかりです。


[第8章 おわり]


長きに渡りました。第8章、お付き合い頂きまして誠にありがとうございました。次回から第9章が、始まります。


 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。


物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。


そんな楽しい猫の星の世界観第5弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)


2019年の7月、幻想の魚の秘密.第6弾を展示決定!お楽しみです。


猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)


※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)


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