クマゼミ
かつて私の中では、クマゼミは憧れのセミでした。
幼少の頃は東京に住んでいたんです。東京の夏はミンミンゼミでした。アブラゼミやツクツクボウシもいたけど、なんと言ってもかき氷食いながらのミンミンゼミの鳴き声ほど夏を実感させるサウンドは無く、今もそれが自分の原風景なのです。
クマゼミは図鑑の中だけの虫でした。だからクマゼミを捕まえたくて捕まえたくて、探し回りましたが、まったく見つかりません。
図鑑ではシャーシャーシャーと鳴く(上述のようなシャンシャン説とかセンセン説もあります)とあり、しかも大型のセミときたもんだから、そいつを網で捕まえたくて夢にまで見たぐらいなのですが、まったくいませんでした。
実はクマゼミは関西以西がメッカだと、大人になってから知りました。
大人になり、就職と同時に東京から京都へ上京?して来たら、そこはカエルとクマゼミの大合唱が聞こえる素晴らしい別天地であることが分かったわけです。それから私の原風景パート2として「カエルにクマゼミの声」が加わったのですが、クマゼミの鳴き声を長く聴いているとなんだか耳につくというか「ボリューム落としてくれぇ」と感じてしまうのです。
クマゼミの声はちょっとうるさいというか、
そう感じてしまう理由は、きっと母の胎内で聴いたセミの声がミンミンゼミだったもんだから、私のソウルサウンドはクマゼミではなかったからろうと、そう納得しています。
やはり京都生まれの人に聞くと「夏はクマゼミの声やろ! そやろ」と言っている人もいましたから、きっと日本の夏の原風景は東西で少し違ったものになっているのかもしれません。
ただ、現在は東京にもクマゼミが進出しているらしいです。でもまだそう多くはシャーシャーいう声が聞こえませんので、東京でクマゼミを捕まえて子どもに見せたら「よ!セミの達人!粋だねぇ」なんて言われそうな予感がします。