「わけがわかる中学社会」で、なぜ?を考えることの大切さを学ぶ
ある保護者の方にオススメをされて、読んでみました。「わけがわかる中学社会」。
「入試まで使える本質的な学力が身につく」というウリ文句ですが、ぐっとレベルアップした昨年度の社会の入試問題にどこまで通用するかどうかの内容はさておき、構成はけっこう好みの本でした。中身に興味がある方はこちらのプレビュー画面で確認ができます。
社会に苦手意識のない子が、一つずつの物事の本質を確認していくのには、ちょうど良い教材ではないでしょうか。苦手な子は、★1つの問題をクイズ形式で取り組んでいくといいかも。
また、これまたウリ文句の一つ「理由がわかると、覚えることはちょっとでいい」には完全に同意です。
本質を理解することは、長期記憶につながります。そして、道理がわかると、一つ一つの知識はつながりだして、そのつながりがもたらすエネルギーで知的好奇心は満たされ、学ぶことがどんどん楽しくなっていきます。
やらされる勉強では味わいにくい感覚ですが、たとえ目的が見えずやらされている勉強中でも、いい先生であればそこをうまく興味を持つ風に伝えてくれたり教えてくれたり課題を出してくれたりして、この学びの楽しみを感じさせてくれるんですよね。
この本を読む気力さえある子であれば、この本はきっとその楽しみを味わわせてくれることでしょう。大人が読んでも楽しめるはずです。
「インドでICT産業が発達しているのはなぜ?」
「奈良時代での戸籍では男性よりも女性が多く登録されていたのはなぜ?」
「クレジットカードだけで買い物ができるのはなぜ?」 ※解答は下記に。
そんな質問の数々が、考えることの楽しさや学ぶことの快感を与えてくれるはずです。一般常識にもつながる部分がありますね。生徒たちはぜひ、各々の質問について、家族や先生など近くの大人と話をしてみるといいんじゃないでしょうか。新たな知識や考えが手に入るかもしれません。
気になったらぜひぜひ手にとってみてください。ちなみに、藤沢のジュンク堂で買いました。まだ在庫あったと思います。あ、あとキャラクターのレモンくんが可愛くてお気に入りです。
そういえば、読みながら、思い出していたことがありました。
その昔、僕が教室長をしていた時のこと。自分の教室に「第二の家」と名付けた僕は、「家には家訓が必要だな」と、家訓つまり教室のルールを作りました。自分で言うのもなんですが、結構好評だったんですよ。藤沢翔陵の先生が気に入ってくれて学校で使ってくれたのもいい思い出です。
その家訓のうちの一つが、「なぜを感じること」。
今思えば「ブルース・リーかよ」と突っ込みたくなるルールですが、これが大事だと思う気持ちは今も変わりません。
「なぜ?」にこそ、学びの面白さが詰まっている。
もちろんこれを考えられる子は成績も上がりますし、社会に出てからも困ることが減るでしょう。テクニックだけではない、物事の本質を見極められる力というのは、お仕事の際や損をせずに生きていくためには、大きな助けとなってくれるはずです。
そのトレーニングに使える良書の紹介でした。ご紹介いただいた保護者の方に感謝です。ありがとうございました。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
質問の解答例(実際に本に載っていたもの)を以下に載せておきましょう。
「インドでICT産業が発達しているのはなぜ?」
→英語が話せる人が多く、人件費も安いので、アメリカの情報関連企業が多く進出したため。また、時差があり、ちょうどアメリカとは昼と夜が反対で、効率的に仕事を進めることができる。さらに、ICTで重要となる数学のリテラシーも高い。
「奈良時代での戸籍では男性よりも女性が多く登録されていたのはなぜ?」
→女性の方が税の負担が軽かったため、男性を女性と偽ったから。租(稲)と調(絹や魚などの特産物)と庸(布)のうち、女性に課されたのは租のみだった。
「クレジットカードだけで買い物ができるのはなぜ?」
→クレジットカード会社が一時的に商品の代金を立て替えて、小売店に支払っているから。一種の借金のようなものである。