肋骨の触診
肋骨の動きを観察すると呼吸の状態がわかります。
肋骨がうまく動いていなければ呼吸はちゃんとはできません。
呼吸はできているけど、浅いということになります。
肋骨を触診して、肋骨の動きを観察しています。
肩関節の動きにも関係します。
これを調整すると肩の動きが良くなりました。
臨床家ならなぜそうなるかはわかりますよね。
後上方に動かないので、背部の筋肉を使うことができません。
呼吸は背中でできて深い呼吸ができます。
背中の筋肉を使わない呼吸は不完全と言えます。
前方には動きやすいのがわかると思いますが、これは何を意味しているでしょうか?
横隔膜も圧迫していることを意味しています。
つまり横隔膜周囲から肝臓や胆嚢、胃も圧迫を受けているということを意味しています。
圧迫を受けるというのはどういう意味でしょう?
普通圧迫を受けるというとギュッとその部分だけが押さえられているイメージだと思います。
しかし、身体の中は殆ど空気がないので実質だと考えるとその答えがわかります。
水で満たされた風船みたいなものです。
水は非圧縮性の流体ですから、僅かな圧力がかかっても全体に波及します。
圧力が高くなるということです。
鍼灸の治療って、この圧力を分散させることだと私は思っています。
この方の場合、背中の圧力が高まって胸からお腹側に圧力が逃げようとしていると考えます。
だから胸やお腹の方向に肋骨も動こうとする訳です。
何が起こるかわかりますか?
様々なことが起こります。
触診はとても重要です。
そして触診は筋力検査法です。
ハッキリ意識付けられた触診は、明確な答えを出してくれます。
これが治療のうまい人とうまくない人の差です。
それ以外にはありません。
できない人を下手くそ!!
というのは簡単。
でもなぜ下手くそなのかを説明するのは難しいですよ。
こういうことが説明できて臨床的効果をあげることができます。