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Evidence Based Physical Therapy - 理学療法士 倉形裕史のページ

『食べる順番ダイエット』を題材に、私なりの『科学的思考』を書きます④

2018.08.18 19:51

おはようございます。理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。


 前回の続きです。『食べる順番ダイエット』を題材にして、『私は、こんなことを考えます』ということを書いてます。この話は今回で最終回です。

特定のダイエット方法に関して意見したいというわけではなく、面白そうな題材を見つけたなって感じです。 


この話を通して、書きたいことは、『少ない前提知識を使って効率的に、非科学的な考え(商品、ダイエット法、治療など)に引っ掛からない方法』です。 


私がこのダイエット法の評価に関して使ったのは、下記です。

  1. 体重減少には、摂取カロリーを減らすことと、消費カロリーを増やすこと以外に科学的に証明された方法がないという知識 
  2. 反対にして考える』という自分の中の習慣 
  3. 『代替エンドポイント』と『真のエンドポイント』を分けて考える」という習慣 
  4. 「統計的に意味があることと、臨床的に意味があることの違いを考える」という習慣 


今日は、4に関して書きます。

統計的に意味があることと、臨床的に意味があることの違いを考える。


これも少し小難しい話が混じってしまいます。。。


統計的に意味があることと、実際の現場(臨床的に)で役に立つことは必ずしも一致しません。

統計的に意味があることは、効果が大きいということを意味するわけではないからです。


『統計的に意味がある』ということはどういう事かというと、このダイエット方法を例にすると、

『体重減少は、偶然に起こったものでない。』という統計の基準を満たしたということです。効果の大きさに関しては、この条件の中に含まれていません。


どういう時に統計的に意味がある(偶然ではない)とみなされやすいかというと、もちろん、差が大きいことは有利にはたらきますが、同じかそれ以上に結果のバラツキが小さいことが求められます。


具体的に書くと・・・

ダイエットしたグループの体重減少が、平均して-10kgであったとしても、

①ある人の体重減少が20kg、

②他の人はむしろ体重が増えてしまった

  とかだと、統計的に意味があるとみなされなかったりします(この体重減少は偶然と判断される)。

逆に、体重減少は2kgでも、ほぼ全員が1.9kgから2.1kg位の体重減少で一致していれば、統計的に意味があるとみなされることもあります(偶然でないと判断される)。


具体的な体重変化が書かれておらず、『科学的に効果が証明されました』となっていても実は、『一年で0.5kgしか減りませんでした。』ということもあるわけです。。。

この場合の『科学的に証明されました』は、『統計的に意味のある結果が出ました(偶然ではありません)』と同じ意味です。

多くの方にとって、1年間、頑張ってダイエットをして、0.5kgしか体重が減らないダイエットは魅力的じゃないと思います。

この様な例が、『統計的には意味があるけど、臨床的(実際の現場)には意味がない』ということです。


で、前回も同じようなことを書きましたが、実際の現場で役に立つほどのインパクトのある結果が出ていれば必ず書きます。謙遜する意味はないわけですから。

そして、webサイトにはこれも書いてないわけですから、仮に、『科学的に適切な方法で調べて、統計的に意味のある結果が出たであろう』と好意的に捉えたとしても、『書かないということは、実際の現場では役に立たない程度の小さな効果だったんだろうな〜。』と推測しました。


このように、

①少し情報をいじってみたり

②『仮に最大限好意的に捉えたどうなるか?→それでも意味がなさそう』

などと考える習慣が付いています。

もっと深く考えられるい人もたくさんいると思いますが、とりあえずこの程度考えられれば、怪しげなダイエット法などにはまってしまうこともないかな?と思います。


今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございました

 理学療法士 倉形裕史