中学校に「普通の給食」がない、という現実
お弁当給食でも、13%しか注文していなくても、「完全給食」という罠!?
皆さんの住む自治体には、中学校にも小学校のような給食がありますか?
私たちの住む町田市は、「小中学校完全給食実施」自治体です。
しかし、私たちは給食実現のために署名活動をしています。
それはなぜか…
「デリバリー方式のお弁当給食しかない」
「しかもお弁当給食を注文しているのは少数派の13.2%(*1)」
だからです。
9割の中学生は、家庭からお弁当を持って行くか、コンビニや購買等で買っているようです。
町田市ほどの低い注文率(喫食率)ではないものの、中学校給食が「お弁当給食」であるという自治体は、結構あります。
しかし、文部科学省の調査(*2)上での定義は、次のようになっています。
・完全給食...給食内容がパンまたは米飯(これらに準ずる小麦粉食品、米加工食品その他の食品を含む。)、ミルク及びおかずである給食をいう。
そのため、「小学校同等の温かい給食」でも、「デリバリー方式の弁当給食で、一部の子どもしか食べていない」状態でも、完全給食を実施していることになっているのです。
町田市のような後者の方式を、「弁当併用外注方式」といいます。
小中学校で完全給食を実施しているのは、全自治体の92.4%。
しかし、この数値のなかには「弁当併用外注方式」も含まれており、実際には多数の家庭が保護者や本人が弁当を作っている、コンビニ等で買っている、という自治体も少なくありません。
中学校給食、本当にこれでいいの?
もちろん「お弁当給食すらない」自治体も8%近くあるので、それよりはいいという考え方もあるかもしれません。
でも、「ある」と胸を張って言える給食なのでしょうか。
署名活動中には、「給食があると聞いて引っ越したのに、実際はお弁当でガッカリ」という保護者の声もありました。
中学生には「あのお弁当給食を皆で食べることになるなら、署名しません」と言われたことも(違うよ、小学校みたいな給食だよ、と言ったら「それなら」と署名してくれました)。
「完全給食実施」という言葉の裏に隠されたこの現状が、町田市のみならず、全国に周知されてほしいと私たちは考えています。
そして、これから中学校給食を始める自治体の皆さんには、町田市の現状を弁当併用外注方式を導入した結果の1例として参考にしていただき、ぜひ深く検討していただければ幸いです。
次回からは、町田市の家庭でお弁当給食が申し込まれない理由や、給食の提供方法の違いを紹介していきます。
*1 2017年度調査。2018年町田市議会第2回定例会、一般質問資料より
*2 文部科学省『平成29年度の「学校給食費の無償化等の実施状況」及び「完全給食の実施状況」の調査結果について』http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/07/1407564.htm