怪盗ブラック・タイガー
怪盗ブラック・タイガー
The Tears of the Blacktiger
2005年11月11日 DVDにて
(2000年:タイ:114分:監督 ウィシット・サーサナティアン)
第18回東京国際映画祭に行って、観ようと思った映画その①。
この監督の第二作『シチズン・ドッグ』を映画祭で観た訳ですが、やっぱり見逃していた第一作を観たいな・・・と。
話の大筋はかなりアバウトというかシンプルで、お金持ちのお嬢様と農村の青年が後に怪盗ブラック・タイガーとなってからの悲恋、なんですが、やはり一味、二味、どころか大味に違います。
まず色使い。基本には鮮やかな緑色、というのがあって、そこに強烈な赤、ショッキング・ピンク、鮮やかな水色・・・といった小物の色をぶつけて、使い分けているのがもの凄く独特。どうしたらこういう配色を考えつくのか、ちょっと監督の頭の中、のぞいてみたい気がします。
大学の建物の色を、ピンク一色にする、なんて度肝を抜かれる色使い。
そして、盗賊団というのが・・・アメリカ西部劇そのもののノリ・・・なんですが、背景はあくまでもタイであるというアンバランスな面白さ。
もう監督には日本の忍者物をタイを舞台にやってもらいたいくらい。
バンバンバンバン撃ち合いしても、続々と団員が出てくる巨大盗賊団、というか監督には盗賊団の人数なんてリアリティは全く考えてないとみた。こういう「監督全く(常識的な事を)無視してますね」というのが、随所に見られて、そりゃ楽しい。
しかし話はろまんちっくで浪漫的、ロ~マンタ~イ。
お嬢様はいつでも可憐に美しく、ちょっと気が強くて、男性は強くても、そんな美しい女性を敬い、大切にするという紳士さ。
オーソドックスな西部劇のようで、同時にとってもポップなセンスにあふれていて、字幕の使い方なんかも遊び心がよく出ていました。
タイ映画『わすれな歌』では、田舎の村の映画上映会で弁士つきでこの映画を上映する、というシーンがあって、わかりやすい話に笑えるキャラクター、真面目で真摯なヒーロー&ヒロインというのは、とても「面白そう」に見えました。いや、本当に面白かったですね。