チョコレート・ラップ
チョコレート・ラップ
Chocolate Rap
2005年10月26日 ヴァージンTOHOシネマズ六本木ヒルズにて(第18回東京国際映画祭)
(2005年:台湾:83分:監督 リー・チーイェン)
今年の東京国際映画祭は、なかなかスケジュールがわからなくて、資料も少なくて、あわてて予定を組んで、直感で選んだものばかりです。
チラシに載っている一枚の写真と短い解説と、自分の行ける時間、それだけで選ぶしかありませんでした。
この映画を観ようと思ったのは、この映画の一枚の写真。
青い遠浅の海で、青年2人がブレイクダンスをしている躍動感あふれる写真に興味を持ちました。
映画は、台湾の若者のブレイクダンスのあれこれ、でブレイクダンスを見せる映画です。
私、ブレイクダンスにはあまり興味なかったのですが、大変な体力、特に腕力がないと出来ないものなんですね。
チョコレートというダンスの上手い青年。
パチンコというチョコレートの仲間になる青年。
キング・コングというダンスが全く出来ない青年。
チョコレートの父が氷をのこぎりで切る職人で「氷パパ」と呼ばれています。
この氷パパ、が良かったんだなぁ~~~
無表情の割には口もとがなんとなくオスマシしてるみたいで。無口だけれども、父が出てくると何ともゆる~い間が出来て、笑ってしまうのです。 氷パパが、大きな氷を切るのを1シーンで西部劇風(?)に念入りに見せるところが、笑えるし、氷パパ、本当の職人か?とまで思う見事な切りっぷり。
足を怪我して、一度はダンスをあきらめたチョコレートと、だんだんダンスが上達してライバルにのし上がるキング・コングが遠浅の海で、ダンスするシーンはとても幻想的。
キム・ギドク監督の『コースト・ガード』では、遠浅の海にボクシングのリングを作って、狂気を現していて、また、ショックでちょっと精神がおかしくなってしまった女性も遠浅の海をふらふらと歩く。
遠浅の海、というのはとても絵になりますね。 青い空から赤い夕日が海に沈むまで、ダンスに熱中する2人。そこには競争、という言葉はなくてただただ、踊りたい、自分をダンスで表現したい、という若者のストレートな気持ちがあらわれているよう。
ブレイクダンスといってもさすが、台湾、カンフー&太極拳の動きが入っているという面白さ。
一種のスポ根ものではありますが、あまり勝ち負けに焦点はあたっていません。そこが良かった。
何故、ダンスをするのか・・・曲もヒップホップだけでなく、上手くクラッシック音楽のエピソードも交えて、これまた、可愛らしい一編。