もう一度
もう一度
One Moment More
2005年10月27日 ヴァージンTOHOシネマズ六本木ヒルズにて(第18回東京国際映画祭)
(2004年:フィリピン:140分:監督 ジェフリー・ジェトゥリアン)
これはフィリピン映画なんですが、舞台となるのは、観光地として名高いセブ島。
主人公のジェリーという青年は、この島でガイドをしている。
冒頭、いきなり日本人団体のツアーで日本語で話すジェリーというのが出てくるのですが、とても綺麗な日本語を使う。発音というより文法がしっかりしていて今時の日本人なんかよりよっぽど丁寧な日本語が使えるガイドさんです。
ガイドというのは、接待の連続みたいなもので、美しい島、セブ島でもガイドとなるとなかなかつらい事もありますし、影では旅行客に娼婦を紹介した紹介料なんかもとって、家族を養っている。
ジェリーは長男で、父は家を出て再婚してしまい、母、弟、妹をガイドで養っていくその姿が、なんとももの悲しい。
家族の情緒みたいなものは、昔の日本映画によく似ています。
旅行客ではわからない現地の人々の苦しい生活。そしてフィリピンから来た旅行客に恋心を抱いても、恋人がいるし、立場もあるしで、いつも自分を押えている長男、ジェリー、つらい。
でもこのジェリーは、楽天的な遊び人でもあって、人と接するガイドを楽しんでいるようにも思います。
仕事熱心で、英語、日本語の次は、韓国語を勉強しようとしていたり。基本的には、人なつこい表情で、深刻にならない精神バランスを保てる心強い兄さんでもあります。
この映画は、光というイメージのセブ島の影をしんみり描くこと。
また、言葉が、フィリピンのタガログ語だけでなく、日常生活に英語がまじり、また、セブ島の言葉も混じりといった知らなかった生活文化が興味深いです。
この言葉の使い分けは字幕だけではちょっとわからなかった部分もあります。
すごく日本映画に近い空気が、めんめんと続くのに、驚きですね。