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妊婦さんに厳しい日本

2018.08.21 21:12

女性にとって妊娠、出産というものは人生をかけた出来事です。


日本では、少子高齢化と言われていますが、少子化に対する政策は十分ではありません。


その1つに、妊娠、出産にかかる費用は保険適応外で自己負担になります。


その代わりに、出産育児一時金と出産手当金を給付できます。


出産育児一時金は、基本給付額は1児の出産につき42万円です。

 

出産手当金は、健康保険または共済組合の被保険者が出産のために仕事を休んでその給料の支払いを受けることができなかった際に支給されるもので、標準報酬日額の3分の2相当額を会社を休んだ日数分受け取ることができます。


こちらは、国民健康保険の場合には対象にはなりません。


女性に対して、「子供を産め!中絶するな!」と言う前に、


女性が安心して妊娠、出産、育児ができる社会を作るのが先では無いでしょうか?


そうこうしているうちに、夫婦は新しい命を授かります。


新型出生前診断で陽性の場合、中絶することが問題視されていますが、


そもそも妊娠、出産に対する保障が十分でないだけに


妊婦さん、夫婦は「どうしようもない不安」に駆られると思うのです。


今では、フリーランスの方も増えていますし、農家の方は国民健康保険に加入しています。


そうした人たちは、十分な手当てや保障がないままに染色体異常の疑いがある状態で、「産む」という決断は、難しいと思うのです。


妊娠、出産は病気ではないので保険が効きません。


新型出生前診断も保険が効きません。


つまり、産むか産まないかの選択は、妊婦さん、夫婦が自由に選択しなければならないと言うことです。


それを、社会的圧力を持って


中絶するな!中絶を促す検査をするな!


と否定するのは、考え方が偏っていると思うのです。


もちろん、検査で陽性だとしても産むという決断を出来れば良いかと思いますが、


皆が皆、同じような生活をしているわけではありません。


共働きで、収入も限られている中で障がいを持った我が子を育てていくことに不安を感じるのは当然のことです。


そうした不安に押しつぶされそうになる気持ちもあると思います。


妊婦さん、夫婦がどんな選択をしても、それはどちらでも受け入れなければなりません。


妊娠、出産は保険が効きませんが、医療が提供されている場で、為されています。


こうした医療制度を見ても、新しい命をどう扱うかは当事者以外は、見守るしかないと思うのです。


今、新型出生前診断を受けた人たちの声がたくさん上がっています。


その多くは、陰性だった場合と陽性でも出産した場合がほとんどです。


そして、陽性で中絶した場合、その妊婦さん、夫婦が何を語っても多くの人に批判されてしまいます。


これが、新型出生前診断を受けたいと思っている人が、「私がもし陽性で中絶した場合、世間からは白い目で見られる」


という後ろめたさに、検査を躊躇して、


時間が経って、「やっぱり新型出生前診断を受ければよかった。」


と後悔してしまうことが、とても残念なのです。


お腹に命を宿した女性に対して、日本は医療制度、手当てが十分ではありませんし、


産むか産まないかの選択によって、社会から白い目で見られる。


目立たないように、コソコソ生活しなければならない。


それはおかしいと思うのです。


新型出生前診断を受ける権利もあれば、


中絶ができる法律もあります。


これらの行為は、人権として守られているのに、


社会的圧力や倫理観だけを持って、否定することはあってはなりません。


多くの妊婦さん、夫婦は新しい命、我が子の成長を楽しみにして、生まれてくる日を今か今かと待っています。


その中で、お腹の子どもの情報を知りたいと思うことは、普通のことです。


今は、遺伝カウンセリングを受けなくても新型出生前診断が受けられる現状です。


依然、認定施設では遺伝カウンセリングを必ず受けることが言われています。


現在、認定施設で新型出生前診断を受ける人は減っているのに、新型出生前診断を受ける人は増えています。


これは、誰にも気付かれず、情報を知って、誰にも気付かれず選択をしたいと思う妊婦さん、夫婦が多いとも考えられます。


悪いことをしているわけではないのに、社会的圧力によって、こうした人たちが正しい情報、選択をしにくい現状を作っていると思うのです。


選択的中絶を増やしているのは、新型出生前診断でも夫婦でもありません。


社会が、圧力をかけて情報をシャットアウトして、受けにくい環境を作っているその代償だと思うのです。


これから、新型出生前診断を希望する方はもっと増えると思いますが、その中で多くの批判や倫理的な問題がさらに浮き出ます。


私たちは、生命をどう扱うか?より


どうしたら、誰もが望む医療を平等に受けられて、そして患者さん自身が、望む選択をできるのか?


じっくり考えないといけないのです。