大変な結婚
大変な結婚
Marrying the Mafia(家門の栄光)
2005年8月10日 銀座シネパトスにて
(2002年:韓国:112分:監督 チョン・フンスン)
後から考えてみれば、この映画・・・朝起きたら、となりに知らない女性(女性から見たら男性)が寝ていてビックリ・・・とか、女性の方がヤクザ一家の一人娘だったとか、以前観たことがあるような設定ではあるのですが、この映画の面白さは「意外性」です。
意外な所に必ず出てくる三兄弟・・・
それから、原題が「家門の栄光」であるように、いかに韓国で「いい大学を出た男性」が家門の栄光となるのか、をかなり皮肉っているのです。
主人公のデソ(チョン・ジュノ)は、ソウル大学法学部卒で、韓国で一番難関と言われている大学を出ている・・・というのが、ネックなんです。
ヤクザ三兄弟が、「義理の弟がソウル大法学部卒のインテリなら・・・・俺たちもインテリだよな」なんて、ニヤニヤしてしまうシーンなんかでそこら辺のコンプレックスがよくわかります。実は日本も同じなんですけど、自分が、でなく周りがインテリ、金持ち・・・が勝ち組とか?自慢する人をみると「わ~~~凄いコンプレックス・・・」って思います。
タイトルからするとラブ・コメディなんですが、実はヤクザ・コメディで、監督の言葉によれば「ヤクザ・コメディですが美しい映画なのです」っていうのがよくわかる綺麗さというのもあります。
恋愛ものだったら、男と女の2人に焦点があって、脇役がいい味だしていて・・・という風なのですが、この映画は後半になると、肝心の男女2人を置いて周りが暴走しはじめるあたりから、どんどんテンポが上がっていく・・・その尻上がりのテンポがいいです。
コメディというのはテンポの良さ、がとても大きい。そればかりではないのですが、ぐいぐいひっぱる強引ともいえるテンポがなければ、中々入っていけません。それから、えっ!!!とびっくりする意外性。
監督が主演の2人よりもキャスティングで悩んだのは、長男役のユ・ドングンだった・・・というのも納得です。
主役2人の思惑を無視して、でなく十分考慮に入れて、家門の栄光の為に外堀をどんどん埋めていく三兄弟。
単純な田舎者のようでも、なかなか洞察力がありますねってそこが一番可笑しいところなんです。
でも、やっぱり田舎者なのよ~~っていう描写は欠かさないという・・・だから、コンプレックスを笑い飛ばす映画とも言えて私は、観ている間は楽しくて、そして見終わった後、なんだか身につまされてしまう・・・という深さもあったりするのです。