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写額漆 28 sei 制作談

2023.09.08 14:21

ご縁があって、いつもの器とは違った制作をさせていただいた。


「額装」とはいえ器であることは同じだと解釈している。

額は写真を収めるための器。

具体的に中に収めるものがあって、包み込む器を考える。

平面の写真を「もの」とするにはどうするか。


写真から得たインスピレーションから制作に入る。

途中で何度か高木さんに確認していただき、

額装の専門的な細部の見え方のところをモリヤさんに頼る。

制作の途中段階を幾度もsessionすることで、新たな発見や方向が変わっていく。

Jam sessionのようで、流れるように細部が作り上げられる。


バンド活動の様なので、パパラギバンドと名付け活動した。

ボーカル高木さんをのせるためのリズムを刻む。

スタジオの質感・光沢・エッジ・素材。

目指していたのは高木さんの家の庭つくりを参考にした。

老木の桜の木を中心に、石と黒土の枯山水。

手を加えているのに自然と調和して、行くたびに変化する。


自然物に一つ手を加えたら、もう不自然なものになってしまう。

高木さんの庭づくりのように、不自然に見えないような額を作れないだろうか。


自分の中では、写真が『自然』

「額」は、その自然を生き生きとさせ、愛おしいものへと変えていくための庭づくりと捉え

手を加える。

地塗り、研ぎを重ねながら、エッジ、質感、光沢、色、厚み、

不自然になる作業を加えながら、違和感を感じるところを直していく。

写真という「自然」に対して、自分はどれだけ違和感に気づくことができ、

それを直していくことができるかなと。

写真を生き生きと、愛おしいものにできるかなと。


高木さんは既成概念に捉われず、美しいもの、好きなものに正直に反応する。

既成概念がない、うつくしいものへ向かうための感覚。

自分は漆工ができる人だったら誰でも知っていて、誰でもできる工程の一部を

切り取って、そこに当てはめる。

「食器の使用に耐える」という制約がないところで制作をする。

メンバーがフォローしてくれるからこそできた自由演技。

とても勉強させていただき、楽しい時間を過ごした。

パパラギバンドのFirst LIVE

夏至(長野市)で、どうぞお楽しみください。

9月25日まで開催中です。