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超人ザオタル(114)「私」への扉

2023.09.09 02:43

「私」とは誰なのか。

誰もがその答えを求めて、何者かになろうとする。

それは世界の意志なので尊重しなければならない。

だが、この世界にその答えはないのだ。


答えは世界を超えたところにある。

世界にその答えを見つけようとする限り、絶対に見つからない。

好きなことは見つかるかもしれないが、それは決して「私」ではないのだ。

このことは、「私」が世界にはいないことを意味する。


世界を超えるとはどういうことなのだろうか。

それは世界が始まる前に戻るということだ。

そこは完全に静止していて、空間も時間もない。

エネルギーもなければ、光さえもない。


それはいったいどこにあるのだろうか。

それは心の奥にある。

そこには固く閉じられた古い扉がある。

そこへの道筋はあるのだが、あまり通った形跡はない。


多分、多くの人はそこに赴くことに意味を見いだせないだろう。

このまま、この明るい世界を旅していればいいではないかと思う。

そこで幸せな体験をすれば、一瞬でも心満たされるのだ。

たとえ不完全でも、ここにはそんな生きる楽しみがある。


しかし、その古い扉は誰の心の奥にもあるのだ。

そして、その扉の向こうが世界の始まる前であり、

そこに真実の「私」がいる。

結局のところ、私たちは誰もがそれを見つけようとしている。


その扉を開けるのは、「私」が世界にないと認めたときだ。

そう率直に認められる精神の成熟を待たねばならないだろう。

何度も時の中で転生を繰り返し、

世界には「私」がいないことを確かめた結果としてその時は訪れる。


そうなってはじめて、心の扉と向き合える。

しかし、それでも扉を開けるには恐れがつきまとう。

もしそこに期待する「私」がいなかったらどうするのか。

まさにこれが最後の機会であり、もう他に選択肢はないのだ。


もしその恐れに屈すれば、扉の前から世界に戻ってしまうだろう。

完全な絶望よりも、刹那的な幸福のほうがましだと思うのだ。

その扉のことは忘れて、世界で楽しむことに没頭する。

そこには仲間がいて、みんながそうしているという安心感もある。