8月22日 大館市比内→鹿角市(58km)
今日は曇り。午前中は諸用を済ませ、午後から隣町の鹿角市へ移動。夜、国指定重要無形民俗文化財であり、秋田三大盆踊りの一つといわれる「毛馬内盆踊り」を見に行く。3日間続くという盆踊りは、今日が2日目。
この盆踊りは、戦国時代に南部氏が安東氏との鹿角地域での戦いに勝ち、ここ毛馬内に凱旋した際に、将兵をねぎらうために「陣後踊り」を催したのが起源とされている。
盆踊り会場となる商店街は、青森県黒石市に似た雰囲気の庇の長い店舗が軒を連ねた50mほどの商店街。暗がりの中に篝火が焚かれ、厳粛なムードが漂う。
KY夫婦も、早速、観覧席のチケットを買い、会場中央あたりに陣取る。
この盆踊りを見に来る外地からの観光客は まだまだ少数派で、見物客も地元の方々が多い感じ。
プログラムは、ゲスト出演の「ナニャドヤラ葛巻町愛好会(岩手県)」による踊りのあと、若衆による勇壮な「呼び太鼓」が響き渡る。
そして、太鼓と笛の囃子で踊られる「大の坂踊り」。
楽器を用いず、生声の甚句に合わせて踊る「甚句踊り」と進み、
最後に三味線の伴奏による「毛馬内じょんから踊り」で終わりとなる。
踊り手は手ぬぐいを顔に巻いて踊るのが特徴で、これは昔治安が悪く、人さらいが多かった時代の名残で、女性が顔を隠すためであるとか、男と女が分け隔てなく楽しめるようにとか、幾つかの説があるらしい。子供は顔を隠していなかった。
終盤の「毛馬内じょんがら踊り」では、いかにも「昔よく踊ってました」という地元の御老人や、里帰り風の方達が踊りの輪に加わって、キレのいい踊りを見せていた。
「地元の人達が純粋に、自分たちの為にやっているお祭り」という印象で、イベント化した大規模な「ねぶた祭り」とはまた違った良さを感じた。
「甚句踊りが一番心に響いた」と Y。7・7・7・5調の歌詞を、左右の舞台に立つ歌い手が、交互に力強く唄いあげる。甚句は初めて聴いたが、普通の民謡とまた違ったリズムがあり、やはり人の声はいいなあ、と惚れ惚れ。
盆踊りが終わり、駐車場へと続く夜道を、月明かりを頼りに歩く。昔、お盆のお迎えには、子供達が提灯を手に手にお寺へと向かったものだった、とK。そんな、遠い日の夏の夜の一コマを、懐かしく想いだした夜だった。
その後、車は10kmほど南に走り、市内中心部に程近い、道の駅「かづの」へ。今晩はここでお世話になるとする。(KY)