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更夜飯店

チーム★アメリカ/ワールドポリス

2018.08.23 21:10

チーム★アメリカ/ワールドポリス

Team America World Police

2005年7月22日 科学技術館サイエンスホールにて(試写会)

(2004年:アメリカ:98分:監督 トレイ・パーカー)

♪チ~ム~アメ~リカ~、××××、イェ~~~~~♪

この景気の良い音楽で出動するのは、世界のテロリストを撲滅するために組織されたチーム★アメリカ。

テロリストを万能コンピューター、インテリジェンスが察知すると、世界のどこにでも即出動のチーム★アメリカ。

そして、テロリスト撲滅の為に、テロリスト以上の破壊攻撃をバンバンして、意気揚々のチーム★アメリカ。

エッフェル塔も、タージマハルも、ピラミッドも・・・なんでもテロ撲滅の為に破壊するチーム★アメリカ。

人形劇、パペットムービーではありますが、18禁です。内容、過激すぎますので良い子は決して観ないようにしましょう。

明らかに、このパペットはサンダーバードを意識しています。

世界の危機に即出動して救助を行うサンダーバードのパロディ。サンダーバードの人形の動きまで似せていて、歩き方なんか宙を浮くようにひょこひょこ歩くし、糸は丸見えだし・・・・しかし、顔の表情・・・口のあたりだけは妙に肉感的でよく出来ています、気持ち悪いくらいよく出来ています。

そして大きな目。ガラス玉で出来ているような大きな瞳は皆、透明で虚ろ。何にも考えていないブルーアイズ。

確かに、この映画でチーム★アメリカは、アラブ系のテロリストや、某共産主義国の独裁者を敵に攻撃しますが、チーム★アメリカは、アメリカ国内から大変なバッシングを受けているという構造。

ブロードウェイの舞台俳優、ゲイリー君というのが、いきなりその演技力を買われて、チーム★アメリカに誘われる・・・という出だしですが、このゲイリー君の「なんだか何も考えていない浅い頭の中」という無垢さが怖いですね。ちょっとした事でころっと考え変えてしまう。

敵と味方だけの世界、またはもう少し踏み込んで、敵の敵は味方であるという構造よりもっと踏み込んで、敵は敵を味方につけ、味方になるはずのアメリカはチーム★アメリカの敵です。マイケル・ムーア監督も、ハリウッドの有識平和主義俳優達も、チーム★アメリカの敵です。

しかし、チーム★アメリカの中では、恋のさやあてなんかしています。攻撃終われば、カクテルパーティしちゃうし。

スター・ウォーズ、キル・ビル、007といった映画のパロディや、ハリウッド大作への嫌悪、嫌味たらたら、俗語の連発。

景気の良い音楽(この歌詞がまた・・・・毒と笑いに満ちています)

有名人の実名を出して、微妙に似ている人形たちを揃え、実名総攻撃。

人形劇だから、許されること、実写だったら絶対許されない・・・そのギリギリ感、一筋縄ではいかない、勇気と知恵を感じてしまいました。

普通の人は怖くてできないことを、やったるでぇ~~~っとやりきってしまっている、しかも人形劇で・・・

エロ・グロ・ナンセンス・・・の世界ではありますが、とても汚い所がありますが妙にしつこく撮っていて、だんだん、あり得ないになってバカバカしいと笑いがこみ上げてくるという不思議な毒に満ちています。

この映画、観る人によって不快を感じる人がいるのは、もう十分わかって挑戦的なことをやってしまっています。

作り手の一番の敵は、実は「アメリカが振りかざしている偽善」なんだと思います。こういう映画を作るアメリカ人がいるってことを褒めるべきか、あきれるべきか。

しかし、人形の細かい所、凝っています。おもちゃ感漂う世界なのに、毒だらけ。

背景のらくだ一匹になんで、あんなに糸がいっぱいついているんだっ!それからオープニングのおフランスには笑いました。