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「パートナーシップ宣誓制度」

2023.09.10 16:14

千葉県木更津市の【パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度】。たまたま手にしたパンフレットで、その存在を知った。


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「この制度は婚姻制度とは異なり、法律上の効果が生じるものではありませんが、市がお二人の思いを尊重し、LGBTQ+など性的マイノリティの方々や事実婚の方々が感じている生きづらさの軽減・解消を図ることを目的としています。

この制度は制度とは異なり、法様上の効果が生じるものではありませんが、大切なパートナーやご家族とともに誰もが安心して自分らしく暮らせるよう市が応援するものです。」

(「制度の概要」より)

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不勉強で恥ずかしい限りだが、行政により施行されるこうした「パートナーシップ」「ファミリーシップ」に関わる制度が、ほとんど「宣誓」させるだけの内容だとは知らなかった。市は宣誓を受け取りました、という証明書を発行するが、それによって宣誓者らに対し市が行ってくれるという「応援」の内容はパンフレットに一切記載されていない。

市のwebサイト(https://www.city.kisarazu.lg.jp/kurashi/sanka/1011021/1011023.html)を読んでみる。


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◆[行政サービスにおける証明書等の利用について]

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ん?ほとんどの市民にとってあまりかかわりの無いケースではないかと。

しつこく、PDF版の「ガイドブック」(日本語版)も読んでみる。が、ページのほとんどが手続きに関する説明に割かれており、「応援」内容に触れているのは最終章の「Q&A」全20項目のうち18、19のみ。


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◆[Q&A]

018

宣誓をすることでどのようなサービスが受けられますか?

A18

木更津市の一部の手続やサービスについて、宣誓をされた方が利用可能になるものや手続が円滑に行われるものがあります。

また、民間事業者の中にも、一定の要件を満たしていれば証明書等を提示することで受けられるサービスに対応している事業者があります。

今後、利用できる行政サービスについて拡大を図るほか、さまざまな民間事業者の皆様に制度の趣旨をご理解いただき利用できるサービスが広がっていくよう周知啓発に努めてまいります。

Q19 宣撃することで受けられるサービスの内容はどこで確認できますか?

A19

サービスについては、随時追加されていくことが見込まれるため、市ホームページ上に掲載しています。次ページに URL と QRコードを掲載していますので、ぜひご覧ください。

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「随時追加されていくことが見込まれる」ので「ぜひご覧ください」という市のページに記載されているのが、上述の[行政サービスにおける証明書等の利用について]である。今年4月に施行されたこの制度の宣誓件数が「パートナーシップ宣誓件数:4件、ファミリーシップ宣誓件数:0件」(令和5年8月8日現在)である理由も残念ながら頷ける。 

一般社団法人Famieeという団体とパートナーシップ証明書等の利用に関する協定を締結しているというので、そちらのサイトをのぞいてみるが、「利用可能企業」(導入企業?)のロゴマークはたくさん並んでいるものの、具体的に受けられる「応援」内容についてはここでもよくわからない。ていうか、アドバイザーに「竹中平蔵」の名前を見つけてのけぞった。ああ…

なぜこのような、ほぼ中身の無い?制度が存在しているのか。木更津市のページを読んでいくと、制度施行前に実施されたという【パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度に関する市民アンケート】(2022年11月1日~15日)が掲載されていた。

これはwebアンケート方式で実施され、183件の回答を得たという。自由記述欄に寄せられた声には、当事者という方々からの切実な思いや制度に対する期待、また、少数者への偏見をなくし誰もが生きやすい社会を切望する、といった内容の意見などが多く見られる。しかしその一方で、制度の悪用を懸念する声(これについては生活保護などの議論に対してもよく思うのだが、制度に救われるはずの多くの人びとの存在を無視し、ごくごく一部の「制度を悪用しようとする人」に論点を矮小化させて、制度全体を否定的に捉えようと必死になる人たちのあまりに多いのに驚かされる)や、「わざわざ LGBTQ の教育を受ける必要はないし、絶対的少数が多数を支配するのは間違い」「性的マイノリティを支援するためにパートナーシップ宣誓制度を創設しようとすることは、性欲に結びついた卑わいな制度になっている」(アンケート回答より一部抜粋)のような、強い偏見に基づいた差別的で攻撃的な意見も散見された。

繰り返すが、アンケートに寄せられた意見の多数は、偏見や差別をなくし誰もが生きやすい社会を、という冷静なものであった。木更津市には、一部の差別的・暴力的な意見に及び腰になり、当事者らの期待の下に施行した新しい制度を空疎なままひっそりとアリバイ的に放置しておくのではなく、建設的な議論を継続し、一人でも多くの市民が幸せに暮らせるまちづくりを期待したい。