妖怪大戦争
妖怪大戦争
2005年7月26日 新宿厚生年金会館にて(試写会)
(2005年:日本:124分:監督 三池崇史)
ホラー・・・怨霊ではなく、妖怪です。
妖怪っていうのは、民俗学的な根拠というものがあって、ただの怖い、気持ち悪いだけではないのですが、この映画に出てくる妖怪、凝ってます。特殊メイクばりばりで、役者さん誰だかわからない人がいたりして。
特に近藤正臣の猩猩(しょうじょう)、阿部サダヲの川太郎なんて全然気がつきませんでした。
ついでに一本ただらは田口浩正なんて、原型とどめてません(?)
妖怪っていうのは、悪の存在だけでなく小豆あらいは「小豆を洗っているだけ」、豆腐小僧は「豆腐を持って立っているだけ」の妖怪。
さすが、水木しげる、京極夏彦、荒俣宏、宮部みゆきといった妖怪大好きの人たちが、「怪」というプロデュースチームで監修しているだけあって、隅の隅まで妖怪、凝っています。
また原作が荒俣宏なので、悪役、加藤保憲は、『帝都物語』に引き続きの登場です。
『帝都物語』は「加藤保憲物語」といってもいい程ですが、この映画の中ではそれほど強烈に描かれていません。
妙にビジュアルパンク風ではありますが、とことん強い悪役の説明、なくて大丈夫かしら・・・とそれがちょっと心配です。
この映画と『姑獲鳥の夏』を観た人は是非、映画『帝都物語』をご覧ください。重なっている部分がとても多いです。
さて、映画の主人公のタダシは親の離婚によって田舎に来て、なじめない都会っ子。
神木隆之介くんは、さすが今、日本で一番演技の上手い子役・・・肌が透明で、腕が細くて、声はまだ変声期前で、ある意味「完璧な少年」です。
それが、麒麟に選ばれし、平和の勇者「麒麟送子」に選ばれてしまった為に、妖怪たちと出会い、加藤保憲の陰謀に立ち向かう、少年アドヴェンチャーです。
この麒麟に選ばれるというのは、小野不由美の『十二国記』の基本設定を丸ごともってきました、という感じなのですが、『十二国記』は麒麟たちの物語と選ばれた者たちという両面がありますが、この映画はその辺シンプルにまとめています。
特撮は、古い日本の風情から、現代風の特撮まで幅広く、芸が細かいです。
話はシンプルなのですが、背景は異様に凝っていますから、そこらへん要チェックです。
監督の三池崇史は、日本の映画監督では色々なジャンルの映画を作ることのできる数少ない職人的監督なんだなぁ、と思いました。
しかし、川姫の太ももの色っぽさとか、栗山千明扮するアギの妖艶さというのは、しっかり三池テイストです。
しかしこの映画で、神木少年は何回「わぁぁぁぁぁ~~~」と絶叫したでしょうか?
また、ワイヤーアクションもこなして、神木少年大活躍です。
でも妖怪はやっぱり都会よりも田舎の山や川の方がしっくり来ます。アイディアとしては面白く、民俗学的な深さと現代風の冒険の融合という意欲は買います。
妖怪たち、観てるだけでも楽しいもんね。意外な妖怪の意外なアイテムが、戦いの決着の鍵を握る・・・なんて所も笑ってしまいました。