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【山はもう秋】寒い秋山登山で悩ましいウェア選び レイヤリングの基本とポイント

2023.10.04 11:00

暑かった9月も終わり、10月になってようやく過ごしやすい気温になってきました。


ちょっと前までは半袖Tシャツで過ごしていた、そんな感覚で山に入ってみれば、びっくりするでしょう。

なんたってもう寒いです

もちろん標高やその日の天気に左右されますが、3000m級の山に泊まりで行かれれば

朝晩はダウンウェアなどの保温着が必須です。


とはいえ日中の行動時は暑い…つまり

服装選びが難しい!

ということに皆さんなっていませんか?


今回は秋山登山で押さえておきたいレイヤリング(重ね着)の基本と、おすすめウェアやポイントを紹介しつつ、シーン別でレイヤリング例をご紹介します!

ぜひこのブログを読んでしっかりと準備をして、秋山登山を楽しみましょう~


秋山登山で押さえておきたいレイヤリング(重ね着)の基本


秋山登山のみならず、登山のウェア選びではレイヤリング(重ね着)の考え方がとても大事です。

極端に暖かいウェアを行動中にTシャツの上に羽織れば、すぐにオーバーヒートして大汗をかいてしまいます。

そこでダウンウェアを脱いだらTシャツ一枚で、さらに汗をかいて濡れてしまって寒いという事に陥ります。


極端な例ですが、ここで何を言いたいかというと

行動中に常に適切な体温を維持するように、薄く重ねていく

のが登山のレイヤリングの基本です。


早朝の登山開始時にはTシャツにフリース、更に風が冷たければウィンドシェルを羽織り

暑くなっていくにつれ一枚ずつ細目に脱いでいき、さらに山頂や稜線に立った時に寒くなればまたウェアを重ねていく。

めんどくさがらず、この小まめな体温調整をすることによって、登山開始から下山まで快適に動き続けることができるポイントになります。


さて実際にレイヤリングを組み立てる中で、下記の順番で整理すれば分かり易いです。

①ドライレイヤー

②ベースレイヤー(気温に合わせた吸湿速乾Tシャツ)

③ミドルレイヤー(フリースやアクティブインサレーション)

④ソフトシェルorウィンドシェル

⑤アウターレイヤー(レインウェアやハードシェル)

⓪保温特化型ウェア(ダウンウェア)


①が最も肌に近い(一枚目に着る)レイヤーで、数の順番通りに重ねていきます。

保温特化型ウェアと分類したものは、①~⑤の行動中に着脱するウェアとは異なり

休憩中や宿泊時に使用するウェアを指します。


パンツ(ズボン)は、穿かれるパンツの厚みを注意しましょう。

ロングパンツでも夏向けの薄手パンツだと、寒くなってしまいます。

ここでは詳細は省きますが、中厚手のトレッキングパンツ&レインパンツの組み合わせが、秋山登山ではちょうどいいレイヤリングといえるでしょう。


それでは上記の組み合わせで具体的にシーン別のレイヤリングを紹介します!



秋山登山 シーン別レイヤリング例

森林限界を超える3000m級のレイヤリング

まだまだアルプスの高山へ足を運ぶ方も多いでしょう。

ここでは①と③と⓪について詳しく紹介します。


①ドライレイヤー

アプローチの長い3000級の山では、大汗をかいてしまうけど山頂に立てばとても寒いです。

まずは1枚目に着て汗冷えを防止するドライレイヤーがとても大事。


ONYONE ブレステックPPアンダー

肌から汗を吸い上げて二枚目に移し、肌をドライな状態にキープするアンダーウェアです。

着てる着てないでは大違いで、これ一枚あれば汗冷えを防止し、なおかつ肌はサラッとした状態で快適に過ごせます。


ONYONEのPPアンダーは今夏リニューアルし、着心地がめちゃくちゃよくなりました!

個人的には汗をよくかく体幹を中心に汗冷えを防ぎたいので、タンクトップを愛用しています。

Tシャツタイプも汎用性が高くておすすめですよ。


②ベースレイヤー

アプローチで暑くなりすぎた時のために、夏でも着用する通気性の高い速乾Tをセレクト。




③ミドルレイヤー

夏山と大きく異なるのがこの一枚を装備に加える事ではないでしょうか。

ミドルレイヤーはフリースやアクティブインサレーションを指しますが、行動中にオーバーヒートしない適度な保温性と通気性を求めたいです。


THE NORTH FACE エクスペディショングリッドフリースフルジップフーディ

私も中込専務も愛用している薄手フリース、エクスペディショングリッドフリース。

保温性、軽量さ、通気性ともに”ちょうどいい”のが特徴でしょうか。


愛用していてつくづく思うのが、今までのフリースに比べとても軽いということ。

フリースは暑いときにはバックパックに入れるので、嵩張ってしまうものよりも軽くコンパクトなものがおすすめなんですよね。


上の写真は冬山になりますが、エクスペディショングリッドフリースはとても軽くコンパクトになるので、秋も冬もにぴったりです。


④ウィンドシェル

気温に合わせてコンパクトになるウィンドシェルか、少し厚手のソフトシェルの選択になると思います。

どちらもレインウェアよりも蒸れにくく、行動中のアウターに適しています。


⑤アウターレイヤー

夏山登山で使っているレインウェアで、秋山も大丈夫でしょう。上下セパレートタイプが基本です。


⓪保温特化型ウェア

夏山登山では泊まるときしか持っていかない、ダウンなどの保温ウェア。

秋山の気温になれば、日帰りでも休憩中やごはん中などにあれば体を温めてくれます。


Rab Mythic Alpine Light Jacket

行動中に着る事は無いので、コンパクトになるダウンウェアがやはりおススメ。

イギリスのアウトドアブランド「Rab(ラブ)」のMythicシリーズは、高品質なダウン(900FP撥水ダウン)を使用しているので重量に対する保温力が凄い!


Mythic アルパインライトジャケットは約250gと超軽量で、薄いULダウンジャケットに比べてもダウンのロフト(ふくらみ)がしっかりとあり、秋山登山時の保温着としても申し分ないでしょう。


Rabのダウンウェアは他にも多数入荷する予定です。

真冬対応の注目ダウンウェアも登場するので、またこちらでも紹介しますね。



中低山の秋山ハイキング

森林限界を越えない中低山のハイキングでも、秋はレイヤリングを間違えると低体温症のリスクが上がります。

ここでは②と④とについて詳しく紹介します。


①ドライレイヤー

森林限界を超える3000m級のレイヤリングで紹介した、ドライレイヤーを中低山のハイキングでも着用します。


②ベースレイヤー

真夏の登山では通気性と速乾性重視で、化繊のTシャツを着用する場面が多いですが、秋~冬ではメリノウール素材のベースレイヤーがおすすめです。

メリノウールはその素材自体が持つ機能として、肌を快適な状態に保つ調湿性と防臭性、そして濡れに強く冷えにくい特性があります。

夏の滝汗をかくシーンでは、化繊Tシャツのほうに優位性がありますが、そこまで汗をかかない秋山ではメリノウールの良さを実感するでしょう。


ARC'TERYX イオニア メリノウール フーディ

アークテリクスのイオニアメリノウールフーディは、メリノウールの良さを存分に感じられる一着です。

天然の温度コントロール機能に加え、防臭機能を持つことで知られるメリノウールを、産地を厳選し使用しているので、その着心地の良さも素晴らしいです。

またウールのベースレイヤーですが、薄手なため暑くなりすぎず、適度な保温性となっています。


このウェアの特徴としてコアスパンウールといって、ナイロンの芯にメリノウールを巻き付けた特殊なウール繊維となっています。

ナイロンの芯があることによって、縮みや撚(よ)れといったウールの弱点が起こりにくく、耐久性の高い一枚に仕上がっています。

ナイロンを使っているとはいえ、メリノウールが87%も混紡されているので、ウールの機能性はしっかりと維持しています。

山梨百名山チャレンジでも愛用しまくっていますが、着心地も買った時とほとんど変わっていません。

こんなに安心して長く着れるウールウェアに出会ったのは初めてです!



③ミドルレイヤー

こちらも「森林限界を超える3000m級のレイヤリング」で紹介した、薄手のフリースが役に立つでしょう。

3000m級とは違い着るシーンが少なくなるので、軽さを重視するといいでしょう。


④ウィンドシェル

秋山のハイキングであれば、地厚なソフトシェルよりも軽量で通気性のバランスが取れたウィンドシェルがおすすめ。


patagonia フーディニ・ジャケット

フーディニジャケットはとてもコンパクトに持ち運べる定番のウィンドシェルです。

厚手ではないので、少し肌寒くなったり風が吹いてきたシーンでは、寒風から身を守りつつオーバーヒートしにくい一枚となっています。


行動中、特に登りでは暑くなってしまうので、①&②は常に着て、こういったウィンドシェルの着脱で体温調整するのがシンプルで分かり易いでしょう。

あまり寒くならない日であれば③を抜かして、保温着として⓪を持っていくのもありですね。

フーディニジャケットはコンパクトに収納できるのもおすすめのポイントです。

秋はこれでは心もとないと思う方もいるかもしれませんが、この薄さが細かな体温調整を可能にします。


⑤アウターレイヤー

夏山登山で使っているレインウェアで、秋山も大丈夫でしょう。上下セパレートタイプが基本です。


⓪保温特化型ウェア

夏山登山では泊まるときしか持っていかない、ダウンなどの保温ウェア。

中低山であっても、休憩時には重宝します。


以上が秋山登山で押さえておきたいレイヤリング(重ね着)の基本と、秋山登山シーン別レイヤリング例の紹介でした!

レイヤリング例はあくまでも一例に過ぎず、登られる方の寒暖感覚によって適切なレイヤリングは異なります。


またレイヤリング例で紹介した③と④の機能を併せ持つウェアもあったりと、レイヤリングは突き詰めればなかなか泥沼…(笑)

お持ちのウェアやお気に入りのウェアなどを軸に、何を足していけばいいかを考えるのがいいでしょう。


さてこれから錦秋の秋山シーズンです!

冬山に変わる前の山の最後の輝きを、快適なレイヤリングで楽しみましょう~!