ドラマ「何曜日に生まれたの」主題歌を歌う「ザ・ホリーズ」ってどんなバンド?
第5話がオンエアされた、ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネットドラマ「何曜日に生まれたの」。いよいよ核心にせまる展開となってきて、目が離せなくなってきましたね。
このドラマを主題歌として盛り上げているのは、ザ・ホリーズが1966年にリリースした「バス・ストップ」。イントロのギターがスリリングなドラマの映像にマッチしていて、さすがの選曲だと呻らされます。
さてそのザ・ホリーズとは、60年代に結成され、なんといまでも活動しているイギリスのロック・バンドで、ローリング・ストーンズに匹敵するご長寿バンドなのです。そんなザ・ホリーズの足跡を、ここでざっと振り返ってみたいと思います。
ザ・ホリーズは、ビートルズがレコード・デビューし、ローリング・ストーンズが結成された1962年に、イギリス、マンチェスターで5人組バンドとして生まれました。中心人物は当時ハタチのアラン・クラークとグラハム・ナッシュ。グラハム・ナッシュはこの6年後、ロサンジェルスでクロスビー・スティルス・ナッシュを結成、ニール・ヤングも加わり大成功を果たすわけです。
彼らは結成からわずか数か月で、パーロフォンのオーディションに合格、1963年5月にデビュー・シングル「(Ain't That) Just Like Me」をリリースします。63年と言えば、ビートルズが「プリーズ・プリーズ・ミー」で初の全英No.1を獲得、以降破竹の快進撃を開始した年。ビートルズと同じレーベルからデビューしたザ・ホリーズも、第2のビートルズとなる大きな期待がかけられていたに違いありません。その期待に応えるように、早くもサード・シングル「STAY」が1964年1/16付け全英チャートでトップ10入りを果たします。この勢いに乗り、ファースト・アルバム『STAY WITH THE HOLLIES』を2月にリリース。するとビートルズの『ウィズ・ザ・ビートルズ』、『プリーズ・プリーズ・ミー』、そして映画「ウエスト・サイド物語」のサントラと、4つどもえの熾烈な首位争いを繰り広げ、『ステイ・ウィズ・ザ・ホリーズ』はリリースからおよそ2か月後、4/19付けチャートで2位を獲得するに至ります(この時のTOP4は、1位『ウィズ・ザ・ビートルズ』、3位『「ウエスト・サイド物語」OST』、4位『プリーズ・プリーズ・ミー』。初登場7位にローリング・ストーンズのファースト・アルバムがランクインしています)。
ファースト・アルバム『STAY WITH THE HOLLIES』
彼らのサウンドは、50年代のアメリカに勃興したチャック・ベリーやリトル・リチャード、エルヴィス・プレスリーといったロックンロールを基調としたもので、「ホリーズ」とは1959年に22歳という若さで飛行機事故で急逝したロック・スター、バディ・ホリーが由来とされています。初期のアルバムはほとんどがロックンロールのカバーで構成されており、全曲オリジナル楽曲のアルバムは、1966年に発表した通算5作目のアルバム、『For Certain Because』が初となります。それまでのオリジナル曲でも片鱗を見せていたコーラスワークの美しさが際立つ作品や、カントリー調の作品やサーカス風のユーモラスな楽曲など、音楽的な幅を大きく広げています。
アルバム『FOR CERTAIN BECAUSE...』
続く1967年のアルバム『Evolution』では大胆にサイケデリアを取り入れながら短時間で制作されましたが、持ち前の美しいコーラスや音楽的な引出しの多さで、破綻なく新たなザ・ホリーズを表現。おそらく90年代あたりのUKロック・シーンにも影響を与えた作品となっていると思われます。
アルバム『EVOLUTION』
そして同年、『Evolution』と対をなす形でアルバム『Butterfly』をリリース。この作品ではポップを突き詰めた楽曲が並んでいます。いずれもイギリスではシングルカットされた楽曲は収録されていませんが、ザ・ホリーズを聴くのにどこから聴けばいいか迷ったなら、この2枚から聴くことをお勧めします。
アルバム『BUTTERFLY』
アルバム『Butterfly』を最後に、グラハム・ナッシュはザ・ホリーズを離れ渡米、クロスビー・スティルス・ナッシュのメンバーとなります。残されたザ・ホリーズもアラン・クラークの脱退などメンバー・チェンジはありながらも、80年代初頭までコンスタントにアルバムをリリース。そして今も、準オリジナル・メンバーであるトニー・ヒックス(g)とボビー・エリオット(ds)を中心に、イギリス国内をツアー中です。
イギリスはもちろんアメリカでも数々のTOP40ヒットを放ち、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、デイヴ・クラーク・ファイヴ、キンクスらとともにブリティッシュ・インベイションの主要グループの一つに挙げられるザ・ホリーズ。2010年にロックの殿堂入りも果たしている彼らの功績は語りつくせません。ぜひ音楽配信サービスなどで聴いてみてください!