FLY, DADDY, FLY フライ・ダディ・フライ
FLY, DADDY, FLY フライ・ダディ・フライ
2005年6月23日 有楽町 よみうりホールにて(試写会)
(2005年:日本:118分:監督 成島出)
原作が『GO』の金城一紀で、原作と脚本の両方をこなしています。
『GO』もそうだったのですけれど、主人公の「少年」は在日韓国人で、アウトロー的存在。学校で周りがはしゃいでいても、いつも離れた所にひとりで別の方を見ているような少年。
群れを作ってしか行動できないことが、「かっこよくない」と思っている私はそういう存在に憧れてしまいます。
この映画では、娘を乱暴された中年サラリーマンが、相手の男子高校生に一対一の決闘を申し込む・・・そんな中年サラリーマンに喧嘩を伝授するなんだか本末転倒したような不思議な師弟関係の面白さ・・・サラリーマン、鈴木役の堤真一、スンホン役の岡田准一・・・この2人の映画と言ってしまっても過言ではないような気がします。
体力作りからはじまって・・・どんどん力をつけていく鈴木さん。スンホンといば、ほとんど何もしない・・・ジャッキー・チェンの『酔拳』のお師匠様状態。それがいつも動いている(走っている)鈴木と、不動の(クールな)スンホンの絵というのがとても多いです。しかし、堤真一よく走りますね~このロケをした去年(2004年)の夏は猛暑。大変だっただろうなぁ。
しかも親子、といってもおかしくない年齢差。普通だったら立場逆でしょ、、、というアンバランス。
喧嘩というより、スポ根みたいな映画ですが、それでも一瞬のスンホンの動きはシャープで美しいとまで思います。
岡田准一は、よく映画に出てくるのですが、巾の広い役をこなせる俳優としても注目しています。
この映画の為に、体力作りやボクシングを習ったというだけあって、あまり見せつけないけれど、腕の筋肉などなかなかシャープです。そう、岡田准一は役の巾は広いけれどどこかシャープなんです。
黒のタンクトップに、黒のルーズなパンツにスニーカー・・・ルーズだけれどもそれがぴったり似合ってしまうシャープさ。
ちょっとでも体にたるみがあるとただのだらけた格好になってしまいます。
実は、堤真一のスーツ姿もちゃんと最初のくたびれ・・・からきりっとしまって見えるようになっていました。
2人の周りの男の子たちは戯画的ではありますが、ちゃっかりしていてここらへんの「じゃれあっている」脚本なんて上手いです。一瞬ではありますが、鈴木さんがスンホンを「おまえ、かわいいなぁ~~ぐりぐり~~~」なんて所もとても可愛らしいシーンでした。
起承転結がきちんとしている映画で、まとまりがいいです。終り方もさらっとしていて、さわやか。
『逆境ナイン』と『HINOKIO』の丁度中間にあたる映画かもしれません。(たまたま連続して観てしまったタイミングもあるのですが)