熱中症対策!③【スポーツドリンクの選び方!】
こんにちは('ω')
熱中症対策!シリーズ最終回「浸透圧を考えた、スポーツドリンクの選び方」のお話をしていこうと思います!
脱水した時の身体
まず、ちょっとおさらいになりますが、
熱中症の症状が出ているときや運動時など、汗を大量にかいて体内の水分が極端に減少した時、身体の中で何が起こっているかというと・・・
①水分の喪失
→体液である血液や細胞内外の水分量が減少・血流が低下する
・循環が低下するので、栄養が届けられなくなり老廃物の回収も滞る。
・脳の血流が減少し、集中力が低下。
・消化管の流れが低下し、食欲不振。
②電解質(イオン)の喪失
→体液に溶けている電解質も一緒に減少するので、骨や筋肉から電解質が減少・浸透圧を維持できなくなる
・電解質が不足すると、神経や筋肉に影響が出て脚がつったり痺れや脱力が起こる。
・細胞外液に最も多く存在するナトリウムイオンが影響を受け、全身倦怠や吐き気・嘔吐などが起こる(希釈性低ナトリウム血症)
そこで、水分を補給したいのですが
お水をガブガブ飲めばOK!という簡単なものではありません(´・ω・`)
前回お話した通り、脱水が始まるとはじめに「細胞外液(血液やリンパ液・細胞の周りの水分)から減り始め、徐々に脱水が進むと「細胞内液」も喪失します。
そして「浸透圧」は濃度の濃い体液が薄い方の水分を引っ張て来て、濃度の差を均等にしようとする働き(圧)でした。
では、脱水時に失っている「水分」と「電解質」をバラバラに摂取したらどうでしょう?
水だけ摂取した場合→
補給した水は腸管から吸収され、減少した血液や細胞外液の補充に血管内に移動するが、電解質が含まれていない細かい水分子なので、「浸透圧」の働きで体液のナトリウム濃度を薄めてしまう。
とくに細胞外液に最も多く存在する電解質がナトリウムなので、薄まることで意識障害や嘔吐などの症状が出ることも!
塩分(ナトリウム)でけ摂取した場合→
熱中症対策で塩飴などを常備している方も多いとは思うますが、炎天下のハードな運動などで汗をかいてしまった場合以外は塩分過多になってしまうことも。
ナトリウムは水分を保持する働きがあり、水分が少ない状態でナトリウムだけ補充すると水分を出さない力が働くので、かえって汗をかきにくくなり熱の放出を妨げる場合があります!
その他、
お茶やコーヒーなどで水分補給した場合→
緑茶や紅茶、コーヒーなど、カフェインの入った飲料で水分補給をした場合、大量に飲みすぎないかぎり喉の渇きが癒えて問題ありませんが、利尿効果があるので水分を排泄しやすい傾向も。
また、缶コーヒーなどはかなり糖分を多く含むものもあり、余計に喉が渇く場合もあります。
ノンカフェインの麦茶やルイボス茶、そば茶などの方がおすすめ。
しかし、脱水傾向にあるときはあまり有効ではありません。
スポーツドリンクの選び方
では、効率的な水分補給・・・というと、スポーツドリンクになってくると思いますが、汗のかき方や運動強度、喉の渇きなどいろんな場合がありますよね?
そんなときのスポーツドリンクの選び方を考えてみましょう!
まず、ヒトの細胞は「0.9%の食塩水」と同じナトリウム濃度を保っています!
涙や汗はしょっぱいですが、あれがだいたい0.9%。
そして、
☆細胞と同じナトリウム濃度の溶液(水分)を「等張液」
(濃度が同じなので「浸透圧がかからない」)
☆それよりナトリウム濃度の低い溶液(水分)を「低張液」
(水分を引っ張る力が弱い=「浸透圧が低い」)
☆反対にナトリウム濃度の高い溶液(水分)を「高張液」
(水分を引っ張る力が強い=「浸透圧が高い」)
と、呼びます。
そして、濃度が低く体液よりも浸透圧が低い溶液(低張圧)を摂取した場合は、腸での水分の吸収はスムーズに行われ、
反対に濃度が高く体液よりも浸透圧が高い(高張液)溶液を摂取した場合は、水分の分泌が促される為腸での吸収は悪くなる・・という性質があります。
また、糖分は運動中のエネルギー源になるだけでなく、ナトリウムと一緒に摂ることで腸管での水分を促進する働きがあるので、同時に糖質濃度が2.5~8%含まれる溶液を摂取したほうが水分吸収率がアップします!
そして、プラス要素として、
発汗によって失われる「ビタミン」や、筋肉疲労の抑制に役立つ「アミノ酸」、エネルギー代謝に関する「クエン酸」などがあります。
スポーツドリンクを選ぶときは、
この塩分(ナトリウム)と糖質の2つの濃度が、浸透圧に深く関わっているのです!!
アイソトニック飲料とハイポトニック飲料
スポーツドリンクには大きく分けて
「アイソトニック飲料」と「ハイポトニック飲料」があります。
☆アイソトニック飲料
アイソトニック=「等張液」という意味です!
ヒトの安静時の体液と同じ濃度(0.9%)の飲料ということですね('ω')
体液と同じ濃度のため、水分・塩分・糖分が「浸透圧」に左右されることなくバランスよく吸収されます!
また糖質が多く含まれるので、長時間の運動時のエネルギー源になります。
しかし、発汗により塩分が排出され体液の浸透圧が低くなると、体液よりナトリウム濃度が高くなってしまうため水分の吸収率は下がってしまいます・・・
☆ハイポトニック飲料
ハイポトニック=「低張液」という意味です!
安静時の体液濃度(0.9%)より塩分・糖分が少なく、浸透圧が低い飲料のことですね(^-^)
汗をかいたときの体液は塩分を失い浸透圧が低い状態になっているので、浸透圧が低い飲料の方が腸管での水分の吸収が速やかに行われます!
発汗が多く脱水が始まっている場合には体内の水分量を増やすことが何よりも優先されるので、エネルギーも少なく吸収されやすいハイポトニック飲料が適しています。
また、激しい脱水の時に推奨されている「経口補水液」も浸透圧が低めに設定されているので「ハイポトニック飲料」の分類に当たりますが、これはちょっと例外です・・・
つまり、
運動強度が低くやや汗をかいている状態(安静時に近い)
→「アイソトニック飲料」を選ぶ!
運動強度が高くダラダラ汗をかいている状態(脱水が始まっている)
→「ハイポトニック飲料」を選ぶ!
というのが正解です!!!(∩´∀`)∩
なるほど~・・・とは思うけど、ちょっとピンと来ないかも知れないので、実際の商品と数値で比較してみましょう('ω')!
スポーツドリンクの比較
(ちなみに、数値は各社のHPから引用しているので、単位が揃っていない場合があります)
・GREEN DA・KA・RA(サントリーHPより)
100㎖あたり エネルギー19㎈
炭水化物 4.7g
食塩相当量0.10g
アミノ酸3~15号㎎
クエン酸80㎎
・ビタミンウォーター(サントリーHPより)
100㎎あたり エネルギー18㎉
炭水化物4.7g
ナトリウム40㎎
ビタミンC200㎎
ビタミンB₆0.1~0.6㎎
・ポカリスエット(大塚製薬HPより)
100㎎あたり エネルギー25㎉
炭水化物6.2g
ナトリウム49㎎
カリウム20㎎
※ペットボトルの数値。缶は少しエネルギーと炭水化物が多い。
ゼリー飲料(180g)はかなり数値が高くできている。
・ポカリスエット イオンウォーター(大塚製薬HPより)
100㎎あたり エネルギー11㎉
炭水化物2.7g
食塩相当量0.10g
カリウム20㎎
※甘味料にステビアを使用している。
・アクエリアス(日本コカ・コーラHPより)
100㎎あたり エネルギー19㎉
炭水化物4.7g
食塩相当量0.10g
カリウム8㎎
※ペットボトルの数値。缶は少しエネルギーと炭水化物が少ない。
・アクエリアス ゼロ(日本コカ・コーラHPより)
100㎎あたり エネルギー0㎉
炭水化物0.7g
食塩相当量0.10g
カリウム9㎎
※燃焼系カルニチンを配合。
糖質を気にする人の熱中症対策・水分補給に!
・アミノバイタルGOLD(KIRIN HPより)
100㎎あたり エネルギー13㎉
炭水化物2.8g
食塩相当量0.10g
ナトリウム41㎎
アミノ酸0.37g ロイシン150㎎ イソロイシン38㎎
バリン40㎎ 他アミノ酸142㎎
※スポーツを快適に続けるために重要なBCAAをはじめとする
アミノ酸類をバランスよく配合。
・経口補水液OS-1(大塚製薬HPより)
100㎎あたり エネルギー10㎉
炭水化物2.5g
食塩相当量0.292g
ナトリウム115㎎
カリウム78㎎
※一本(500ml)のナトリウム含有量は575㎎(食塩1.46g)
味噌汁一杯(150ml)/梅干し中一個(約7g) と同じ。
※感染性胃腸炎・感冒による下痢嘔吐・発熱を伴う脱水症状・高齢者の経口摂取不足による脱水状態・過度の発汗による脱水症状等に適している。
※成人でも一日あたりの目安量は500~1000ml
多く飲用することによって原疾患が治癒するものではない。
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比べてみると、含有量の数値ってけっこう違うものですね('ω')!
汗のかき方や運動の強度で、その都度選ぶ目安にしていただけたらと思います♬
真夏は終わったものの、暑かったり涼しかったり台風だったり・・・と安定しない気候の9月!
まだまだ脱水に気を付けていきましょうね✊(`・ω・´)
では、また(´▽`)ノ