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母の本音

2018.08.29 00:00

著書「35歳で妊娠が分かったら読む本」から一部抜粋。


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ダウン症候群などの遺伝子異常の子供を持つさまざまな夫婦と直接話をする機会が多い山村先生ですから、会話の中に、一般的にこういう遺伝子の検査を行うことで反対をする人たちも居ます。

それは、

「産まれてきた子どもは、産まれてきてとても幸せそうだし、神さまから授かった命なんだから。」


ということで、遺伝子の検査を安易に受けることに批判があるようです。

しかしながら、そういうお母さんの中に何人かは、


「もし、妊娠中にこういう検査を受けて異常を受けたならば、産まなかった。」


と言う方もいらっしゃいます。

これは、とても残念なことだとは思いますが、この検査ができるようになってきたこと、NIPTを含めて遺伝子検査が可能になってきたことは、やはり遺伝子の異常がある子どもをこの世に送り出したくないという考えに基づいて研究がなされた社会的背景があると思うのです。

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私たちが受けることのできる医療というのは、私たち国民のためには存在していません。


では、何のために存在するのか?


それは社会のためです。


戦後の日本では、強姦や望まない妊娠があり、望んでかどうかは分かりませんが、多くの中絶手術が行われていました。


中には、障がいを持っていたりなど社会的圧力によって中絶させられたケースもあるはずです。


ただ、今の時代は、戦後の荒れた社会ではありませんから、医療というものは、どんどん人々のために進化しなくてはいけません。


今の社会で、医療の位置付けは「ビジネス」です。


新型出生前診断においても、海外の検査機関が医療ビジネスとしてこの検査を誕生させました。


ビジネスが悪いというのではなく、医療というものが多くの人が必要としているもので、ニーズがあるという良い意味です。


ただ、新しい医療が受けられるためには、まず社会というフィルターを通す必要があります。


新型出生前診断は、中絶の原因となった過去の日本社会と照らし合わされてしまっています。


これが、議論が広がっている理由です。


ですがこの検査を受ける、または希望される妊婦さん、夫婦はこの議論とは無縁です。


なぜなら、医療は国民のためにあって、社会の為にではなく、一人ひとりのためにあるべきだからです。


もし、新型出生前診断について中絶を促す検査だと社会的圧力をかけられることで、本来受けられる人が自由に受けられなくなる。


これこそ、日本が犯した過去の過ちをまた繰り返すことになるのです。


医療は社会によって歪められることもあれば、社会は医療によって変えられることもある。



医療が社会によって圧力を受けることはよろしくないが、


社会が進歩した医療によって変わっていくことは、良いことだと思います。


以前は、治らなかった病気が治り、予防医療によって病気を未然に防ぐことができる。


これはとても素晴らしいことだと思うのです。


今こうして、新型出生前診断が議論されている理由として、メディアの力が大きいと思うのです。


ドラマでも取り上げられ、ニュースでも取り上げられる。


それも、中絶することは如何なものか?という前提で為されています。


こうして医療は社会の力によって圧力をかけられ、歪められていくのです。


私たちには、自由に選ぶ権利があると思うのです。


それを、倫理観や偏った考え方だけで突き通すことは、とても辛い思いをされる方を増やす原因になるのです。


私たちは、社会に踊らされてはいけないのです。


自分たちの選択は、自分たちで責任を持って決めるのです。


責任を持った決断は、どんなものでも素晴らしいことなのですから。