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年次有給休暇について

2018.09.02 00:30

職員の皆さん、お疲れ様です。


有給休暇を自由にとりたい!

と思っている職員の方、多いのではないでしょうか。


今回は、年次有給休暇について書きたいと思います。


【年次有給休暇制度の趣旨】

労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養をはかるため、また、ゆとりある生活の実現にも資するという位置づけから、休日の他に毎年一定日数の有給休暇を与えることにあります。


【付与要件】

(労働基準法第39条1項・8項ほか)

使用者は、労働者が次のいずれをも満たした場合に、有給休暇を与えなければなりません。

①雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務したこと。

②全労働日の8割以上出勤したこと。

※年次有給休暇の権利は、①、②の要件が充足されることによって、法律上当然に労働者に生ずる権利です。継続6ヶ月の期間を経過する前に、労働者に対して年次有給休暇を与えることは差し支えありません。
※継続勤務は、労働契約の存続期間〔在籍期間〕のことであり、休職期間や長期病欠の期間も含みます。
※出勤率=出勤した日/全労働日となります。出勤日には、遅刻・早退した日、産前産後、育児・介護、業務上の傷病による休業期間、年次有給休暇を取得した日が含まれます。


 【付与日数】

継続勤務日数→取得可能な有給休暇の日数

半年→10日
1年半→11日
2年半→12日
3年半→14日
4年半→16日
5年半→18日
6年半以上→20日

※継続勤務年数が7年6ヶ月以上になっても、20労働日を超える有給休暇を付与する必要はないとされています。

北里大学病院では、「過去1箇年間継続して勤務し、全労働日の8割以上勤務した職員に対し、継続し、または分割した16日の年次有給休暇を与える。ただし、前年度における中途採用者は、過去1箇年間勤務したものとみなす。」とされているため、有給休暇の付与日数は、法律上の規定より充実したものであるといえます。


年次有給休暇は、労働者の「権利」であり、勤務先である病院に理由を届け出る必要もなく、使用者の承認が必要なものではありません。

「今日は、有給休暇を取得します。」の連絡でよいというのが大原則です。


 しかし、労働者の有給休暇取得の行使に対して、使用者は「時季変更権」を行使できます。


【時季変更権について】

(労働基準法第39条5項ほか)

時季変更権とは、有給休暇を指定した日について、「事業の正常な運営に支障をきたす場合」には、他の時季に有給休暇を取得するように変更を求める権限のことです。

この権限を行使できるのは、「当該労働者の年次有給休暇取得日の労働がその者の担当業務を含む相当な単位の業務の運営にとって不可欠であり、かつ、代替要員を確保するのが困難な場合」であるとされています。

例えば、Xさんという労働者が存在するとして、Xさんがその日出勤しなければ、その部署の業務そのものが止まってしまい、代わりが全く効かないといった場合に、時季変更権を行使できます。

時季変更権は、そう簡単には行使できず、「忙しいから」「人が少ないから」では不十分です。


 このような場合、Xさんは、上司にどうしても出勤しなければならないのか、Xさんが出勤して対応しなければ、なし得ないような業務があるのか確認する必要があります。それがないようであれば、出勤を断ることができます。

 有給休暇の承認制度をとっている事業場がある場合、有給休暇を勤務先が管理する体制であり、体制自体が間違っていると言わざるを得ません。使用者にできることは、労働者の年次有給休暇行使に対して時季変更権を行使できるかどうかだけになります。


【有給休暇の制度は充実していても、取得率が低い理由】

日本の年次有給休暇の水準は、制度として日数は確保できていますが、取得率が低迷している状況です。

理由は、職場の雰囲気・空気、業務量の多さが多いとされています。

「皆が働いているのに私だけ休むのは申し訳ないなあ」という罪悪感や後ろめたさが有給休暇の取得率向上を阻む要因となっていると考えられます。

上司が一人ひとりの職員に有給休暇を取得できるよう促す、また上司自身がプライベートで有給休暇を取得することで、部署内で気兼ねなく有給休暇を取得する土壌が形成されるため、組織のトップの姿勢は何より重要であると考えます。


【計画的付与について】

(労働基準法第39条6項ほか)

年次有給休暇取得率の低迷の要因として、職場の雰囲気への気がねがあることから、職場での計画的取得の制度を用意したものです。

使用者は、労使協定により、有給休暇を与える時季に関する定めをした時は、有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、その定めにより与えることができます。

具体例としては、事業場全体の休業による一斉付与、有給休暇計画表による個人別付与が挙げられます。

5日分については、個人の意思を尊重した上で有給休暇を付与するものです。


【2019年4月1日施行「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」における有給休暇の取得義務】

政府は「第4次男女共同参画基本計画」において、2020年までに年次有給休暇取得率を70%にするという目標を掲げました。その目標達成のため、2018年6月29日、国会で成立した【働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案】において、有給休暇の取得義務が盛り込まれました。

「年10日以上の有給休暇の権利が発生する労働者に対し、そのうち5日を発生日から1年以内に、時季を定めて有給休暇を取得しなければならない」というものです。

※5日以上取得している労働者は該当しません。

2019年4月1日以降、対象となる労働者に有給休暇の指定をしなかった場合は、30万円以下の罰金が課されます。

病院当局は、予防労務を行わなければならない必要性がありますね。


最後に、職員の皆さんから、多く意見が寄せられた「年休の買い取り制度」についてです。

法律上、年次有給休暇の買い取りという制度は存在せず、労働者が行使できるのは、「休みます。」という権利であり、法律上「買い取ってください。」ということは要求ができません。 しかし、有給休暇の買い取りを禁止する法律はありません。

使用者と労働組合との間で、任意に合意すれば、年休の買い取りは可能となります。


 有給休暇についても、ご意見・ご感想がございましたら、

北里大学病院労働組合準備会

または

上部団体である

神奈川県医療労働組合連合会

までご連絡ください。