日本人は時間にルーズ
江戸時代末期、長崎海軍伝習所の教官として来日したオランダ士官のウィレム・カッテンディーケの著書『長崎海軍伝習所の日々(日本滞在記抄)』を読んだのですが、その中でこんな記述がありました。
「日本人の悠長さといったら呆れるくらいだ。我々はまた余り日本人の約束に信用を置けないことを教えられた。」
なるほど、150年以上前の日本人は時間にルーズで約束を守らなかったと、、、
現代の世の中では一般的に「日本人は時間を守る」と言われていると思いますし、私たち自身、他国に行った時に「こっちの人は時間にルーズ!」なんて言うことがありますが、150年以上前は私たちがそうだったようです。
つまり、「日本人は・・・」「〇〇人は・・・」というのは、元々の性質というよりも、時代や環境によっても変わるわけで、それなのに「この国の人はこうだ」という先入観や固定観念は外した方がいいということですね。
そういう視点で捉えると、当時2年間日本に滞在して、教官として日本の若者たちと過ごしたカッテンディーケの日記はとても面白いです。
例えば、彼は「日本人は好戦的、冒険的で、好奇的な国民」と書いていたのですが、それも今とはちょっと違うと思いますし、また、「日本人ほど無頓着な人種が他にもあるとは信じない。」というのも、そこまでか!!と思ったり、、。
でも、それは裏返せば「とにかく日本人ほど寛容心の大きな国民はどこにもない。」ということだそうで、あーー、そういうところはあるかもなーなんて思ったりもしながら読み進めました。
ちなみに、日本人は時間にルーズとか約束を守らないと書きつつ、彼は日本のことを大絶賛していて、「日本はまさに天国のごとき国」や「この国が幸福であることは、一般に見受けられる繁栄が何よりの証拠である」とも書いていました。
また、2年間を過ごした長崎の美しさや彼が旅した福岡や鹿児島についても触れていて、当時の情景が思い浮かぶような日記を読みながら、まだ行ったことがない長崎に行ってみたいなーなんて思ったりもしました。
そうそう、この本の中で彼が最も絶賛をしていた日本人は勝海舟!
「艦長役の勝氏はオランダ語をよく解し、性質も至って穏やかで、明朗で親切でもあったから、皆同氏に非常な信頼を寄せていた。それ故、どのような難問題でも、彼が中に入ってくれればオランダ人も納得した。」
「私は同人をただに誠実かつ敬愛すべき人物として見るばかりでなく、また実に真の革新派の闘士と思っている。要するに、私は彼を幾多の点において尊敬している。」
勝海舟ってやっぱり凄かったんだなー!
オランダ人にここまで言わせる彼は今でいるグローバル人材のトップランカーですね。カッコ良すぎる!