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TIFFティーンズ映画教室2018

2018.09.01 14:51

広尾駅から徒歩約10分。

閑静な住宅街の中に会場がありました。

プロの映画監督やスタッフとともに、中学生が主体となって映画の撮影、編集などすべての過程を進めていき本格的な映画作りに挑戦するワークショップ「TIFFティーンズ映画教室2018」が開催されました。

そして完成作品は東京国際映画祭でワールドプレミア上映されます!

今年は特別講師として昨年の東京国際映画祭で観客賞を受賞した

『勝手にふるえてろ』の大九明子監督

を迎え、東京国際映画祭のメイン会場である六本木ヒルズを拠点に映画制作が行われました。その模様を三日間に渡って私たち学生応援団も取材させていただきました。


【7月26日】

やや緊張した表情を浮かべた参加者たち。

4つの班に分かれ、チームメイトたちと顔合わせです。

そして、大九明子監督の登場。

参加者たちは、順番に自己紹介と事前に与えられていた課題の発表を行いました。

その課題が、「人を観察し、その人の人物像を妄想する」というもの。

どこで会った?

何時にあった?

仕事は何?

どんな外見?

どんな性格?

電車内で見かけた人や近所の人など、生活の中で目に付いた人たちの姿を絵にかき、その人たちがどんな人物なのかひたすら妄想を膨らませるという課題です。

近所に住んでいる人は、実はロックバンドのヴォーカル!などなど、たくさんの妄想が会場内の笑いを誘い、緊張した表情もほぐれていきました。


【7月31日】

日差しが照りつけうだるような暑さだった7月31日、私おがりな(小川)とえーじ(山本)で取材に行かせていただきました!

子供達は4つのチームごとにそれぞれ制作活動を行なっていました。

取材の開始は12時からでしたが、すでにお昼休憩を終えてカメラなどを持ってすれ違いでどこかへ向かう黄チームと緑チームの子供達の姿が…。

どこへ行くのかスタッフさんにお聞きしたところ、「六本木ヒルズの屋上庭園の敷地をお借りして、撮影に行く」とのこと。

そこで、小川が同行させていただき、ワークショップ拠点に残った赤チームと青チームの子供達には、山本が取材させていただきました!

*ワークショップ拠点 赤チーム 青チーム

拠点での作業をする2つのチーム、赤チームではまず各々で脚本を作成する時間に!

一人一人、考えそれをみんなで意見交換をして1つのものを作り上げるという流れに…


かなり集中力を要する作業のようで、途中に紙風船のようなもので遊んでリフレッシュ!

その効果もあってか、それ以降の作業は今まで以上に筆が進んでいました!

一方で青チーム!脚本の土台を作り上げ、登場人物のネーミングを行なっていました!

青チームでは、作業する部屋を変えたりするなどし集中して進めていました!

その後は、脚本の仕上げ・物語の展開の仕方を話し合い、音響など特殊効果の実験をしていました。音声の録りかたは山本も勉強になりました…。

どちらのチームも全てのことを多数決ではなく話し合いで決定し自分の意見を言い、仲間の意見を聞き納得のいく形で行なっており、また全体を通してノビノビと自由な空気で制作にあたることができていたと思います!

*六本木ヒルズ 屋上庭園

 森ビルの担当者の方に案内され、みんなで屋上庭園へ!

 そこは、360度どこを見回してもビルが立ち並び、東京タワーも見えました。そしてすぐ隣には、ビルの屋上から見ているのに背中を反らして見上げなければならないほど、高い高い“森タワー”がそびえ立ちます。

そんな都会のど真ん中にある屋上庭園ですが、庭園の敷地には緑が一面に広がっていました。

ここには桜や柿など、四季に合わせた植物が植えられています。また、毎年異なる地域のお米が植えられている田んぼもありました!

森ビルの担当者さんから説明を受けた後、各チームに分かれ早速活動を始めた模様。

実際に撮影をしていた男の子に後でお話しを聞いたところ、この日の屋上庭園での撮影は、「どのアングルで撮影するか決めるための素材集め」だったそうです。

「この道使えそう!」

「このアングルでここから撮ればいいんじゃない?」

といった会話が飛び交います。

あるワンシーンを撮った直後。

そして、同行されていた特別講師の大九監督が中学生に、カメラでの撮影についてレクチャーする姿も。

『カメラマンは自分の体勢がどうであれ「撮れない」なんてことはない。我々は自分たちのことを“スクリーンの下部”と呼んでいて、撮りたいもののために何でもします』

相手が中学生であろうと関係ない、「プロとしての心意気」をまっすぐに伝えられていました。プロの監督の言葉は、とても深く心につき刺さりました。そして発言の一つ一つに重みがある。こんな指導を直接受けられるなんて、ワークショップに参加している中学生たちがうらやましくてしょうがなかったです。

炎天下のもと1時間強で撮影を終え、徒歩で会場に戻る中学生たち。

このあとも夕方までみっちり、シナリオを考える等の作業をしていました。

お疲れ様でした!!

*インタビューさせていただきました!


○大九監督特別インタビュー!!

 大学生の頃はサークルでお笑いをやっていたという大九監督。卒業後は就職をしたものの4か月で辞職し、お笑い芸人養成所に入りお笑い芸人として活動します。お笑い芸人として煮詰まっているときに俳優事務所に拾われましたが、27歳のときに映画を志すために“映画美学校”に入学。芸人だった頃から「自分でネタを考えて演出するのが楽しかった」そうです。


Q. TIFFティーンズ映画教室の特別講師をお引き受けになった理由は?

A. (このワークショップの目的の一つに教育の面があることに対して)教育学をマスターしてないですし、子供に興味があるわけでもない。自分がやってきたことを一緒に体験させてあげることはできますよとお伝えしました。普段やっていることを若い皆さんとやっているという感じでしょうか。

Q. 大人スタッフはあまり助言をせず、全て中学生主体で映画製作を行っているとのことですが、どの程度助言することなく見守っていますか?逆に、アドバイスとして心がけているのはどんなことですか?

A. 今回特別講師として呼ばれている監督なので、映画として逸脱しているときは言うかもしれないですけど、基本ほっといています。子供に慣れている大人リーダーに任せているので。逆に、言いたいことは我慢せず言っちゃってます。

Q. このワークショップを通して、中学生に学んで欲しいことはありますか?

A. 学んで欲しいことは特にないですけど、普段スタッフと接しているときと同じ気持ちなんですよね。だから、「面白いこと言う人だなあ」と思うと、5年後とかに現場で会えたら面白いなとか。映画をつくる仲間として、いちスタッフとしてみてしまうところがあります。

Q. 今の学生に、映画とどのような付き合い方をして欲しいですか?

A. 映画館に足を運んで欲しいです。「見たい作品があるから映画館に足を運ぶ」ということが前提だと思うけど、都内には映画館がたくさんあるので。 “映画館”を好きになって欲しいです。

今回、中学生を観察するときも、普段の現場で役者を観察するときも「視野見」を心がけているという監督(この言葉を知らない人は、いますぐ大九監督作品『勝手にふるえてろ』をチェック!)。映画を志したきっかけなど、本当にたくさんのことをお話してくださいました。ありがとうございました。

○参加した中学生たちの声

Q.ワークショップに参加したきっかけは?

 ・女優さんになりたくて、知り合いに紹介してもらった。(中3女子)

 ・友達から聞いて、友達と参加しました。テレビや映画をつくってみたいからです。(中2男子)

 ・YouTubeで自主制作映画を見て、映画を撮ってみたいなと思った。(中3女子)

Q.これまでのワークで一番楽しかったことは?

 ・機材を触ること。(中3女子)

 ・人物を想像して書くこと。そして、それぞれが考えた人物を会話させてシナリオに書いたりしたこと。(事前に大九監督から、“街で見つけた人物をもとに登場人物を考える”ことが宿題として与えられていたそうです。)


【8月5日】

駅から若干迷子になりながら、8月5日、学生応援団新メンバーヘッポココンビのタケ(大竹健太)とカキ(高林香紀)は、映画教室の最終日を見学させていただきました。

各班で進みのスピードは若干異なるものの、皆上映会に向けて仕上げの段階に入っていました。細かい作業が多い中で、担当者の方からは「子供たちの集中力を切らさないために、あまり話しかけてあげないでほしい…ごめんね。」とのことで、二人でこそこそ作業部屋を覗いたり、写真を撮ったりしていました。

<ポスター制作>

各チーム2~3人ほどで作成をしていました

かなりディティールの細かい作業であったが、皆すごい集中力です。

ちぎり絵やイラストなど、それぞれのチームで異なった工夫がなされていました。

すごいクオリティ。

他の作業で手が空いた人たちはポスター作りのフォローに入っており、チームワークを感じました。休憩などは一切なく、時間との勝負です。

作品の中身に興味がそそられるポスターです。

(ポスター作成風景)下書きから丁寧に書いています。

<音撮り>

音を撮るための部屋は基本入室禁止。

音を撮るときは皆静かに作業を行うように「しーーっ」と呼びかけ。

ギターやピアノ、半球状の鉄製の打楽器のようなものがあった。

音を撮った中でも使わなかったものもあるそうです。

(ピアノやギター、見たことのない打楽器がありました)

<撮影>

上映会まであと2時間と差し迫った中で、裏庭で重要なシーンの撮影。

緊迫した雰囲気が伝わってきました。カメラもかなり本格的。

最終日は裏庭や近くの公園で最後のシーン撮りをしていた班が二つほどありました。

(急遽追加で撮影を行う班。上映会まであと少し…)

<編集>

編集作業は、大人のスタッフのアドバイスも参考にしながら話し合いを重ね、音の長さ、カットの部分等を検討。

編集だけで映画の質が格段に上がることに皆感動していました。

何度も同じ部分を見直し「ああでもない、こうでもない」と、本物の映画監督のようでした。

(様々な意見を共有しあい、より良い作品へと仕上げています)

<作品上映会>

4つの作品がそれぞれ違うジャンルの作品であったことへの驚き

(ホラー、恋愛、コメディ、SF)

決して映画館でやっているような作品達に見劣りをしない出来栄えです。

中学生たちの映画に対する情熱を強く感じました。

(学生応援団の我々も負けてられない!)

舞台挨拶では多くの班で、猛暑の中での撮影が大変だったと話していたのが印象的です

暑さに負けず、とても素晴らしい演技とカメラワークでした。

(皆さんお疲れ様でした。)

<インタビュー>

なぜこのタイトル?という秘話や、苦労した個所などお話を聞くことができました。

皆、単なる「教室」ではなく、本気で映画を作っていたことを再確認させられました。

将来の夢が女優さんや宇宙飛行士という話も。



学生応援団公式Instagram

@tiffgakusei

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