恋は五七五!
恋は五七五!
2005年3月14日 千代田区公会堂にて(試写会)
(2004年:日本:105分:監督 荻上直子)
俳句なんてジジイのうわ言、ババアのたわ言?
というキャッチコピーがとても現代っ子の気持ちを表していると思います。
『バーバー吉野』の荻上直子監督の第2作目は、高校生たちのジジババのうわ言、たわ言を全国で競うという俳句甲子園に出ることになった5人の高校生たちプラス顧問のマスオちゃん(杉浦哲太)の奮闘記。
荻上監督というのは、女性監督ながら、女性監督らしい女に向ける目というのがないですね。さばさばとしていて、「ズボンをはいた女の子」が、女の子が群れてやみんなと一緒でないと何も出来ないってことに、ふんっとそっぽ向いているような感じがあります。
バーバー吉野では同じ髪型を強制させられることへの反発、この映画では、「ジジババのたわ言」と周りから笑いものにされる事に反発してだんだん熱心になって成長していくことをまっすぐに描いています。
帰国子女で、まわりになじもうとしない(漢字が全く書けない)治子、太っているためにチア・ガールからはずされるマコ、天然で治子を慕ってくる下級生のPちゃん・・・女の子達は元気がいい。出来ないときは出来ないとはっきり言い、嫌だと思えば嫌だとはっきり言う。
それに反して、いきなり「写真部は夏期限定で俳句部になりました」と言われるツッチーこと土屋は治子のことがひそかに好きだからずるずると始める、万年野球部補欠で伊藤園のお~い お茶の俳句大賞に密かに投稿してはボツになる片岸は極度のあがり性、顧問のマスオちゃんはなんとも気弱で、男性陣は元気がない。
この6人が俳句というものを通じて、それぞれに成長するのをちょっと戯画的に、テンポよく描いています。じめじめしたところがないさわやかさ。
俳句の善し悪しを判定するのはスポーツと違って、勝ち負けはあまり重視していないですね。とにかく俳句を通して・・・という所がいいです。甲子園に出ると、『ロボコン』の第一ロボコン部みたいな、俳句エリート学校なんてのも出てくる。
技巧だけ上手い俳句と稚拙だけれども、よくわかる俳句・・・俳句エリートに鋭く論評されても、マコは「あんたたちにはわからないわよ」といきまき、Pちゃんは(失恋した経験が私たちには)「ある」(エリート君たちには)「ない」と切り返す。
片岸をのぞいて、俳句初心者だった4人が、だんだん五七五の音律に慣れてきて、素直な気持ちを短い言葉で表す難しさと喜びを見いだしていくのがとても気持ちいいし、男の子の女の子への好きだ~でもうしろめたい・・・という気持ちの描き方、よかったです。
愛媛でオールロケをして夏の風がいつも吹いているような空気、俳句の情景のような木々や花の撮り方、女の子3人が校庭でキャンディーズの「やさしい悪魔」を歌って踊るときの、足の太さ3種類とか、すぐに悲観して飛び降りようとするマコのスカートが風に吹かれて、チラリどころかペロンとなってしまう所なんかはちょっと男の人には出来ないことかな?ってふっふっふっ。