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Mido Labo vol.13を終えて

2018.08.30 01:08

Mido Labo vol.13「アコガレノヒト」、終了しました~。

ご来場くださったお客さま、応援してくださった皆さま、関係者の皆さま、本当にありがとうございました!

もういろいろなメディアでいろんなことを書いているのですが、ここでは松井みどり個人として書いてみようと思います。


私、今回は「人でなしの恋」の人形役だったので、セリフはほとんどありませんでした。なので、メインで地の文を読む役の時と比べて、「読む」という稽古は必要ありませんでした。


なので、「お?今回は楽かな?」と思ったんですが…結論から言うと、まったく楽じゃありませんでした!というより、もしかしたらいつもより緊張もし、焦りもして、とにかく大変でした!


なにが大変って、まずは着物!

今回私が着たのは、なんと私の祖母が85年ほど前に着た、花嫁衣裳でした。

まず、そんなものがこのように色鮮やかな状態で残っていることが、とても珍しいんだそうです。

発色はほとんど当時のままじゃないでしょうか。

もう今では作れないものだそうで、そんな貴重なものを舞台で着てもいいものか悩みましたが、私が着ることで供養になるのでは、とも思い、ありがたく着させてもらうことにしました。

ただ、随所にほどこしてある刺繍が取れかかっており(糸がダメになっちゃうんですね)、その修復との戦いでした。

母は気の遠くなるような時間を使い、糸と針で刺繍を押さえにかかったのですが、着ているうちに糸が切れてしまうことが多かったため、ついに手芸用のボンドでとめました。

それでも毎回着るたびに修復時間が必要な状態…ビリッという音に恐怖したものです。


それから、今回はスタッフさんがギリギリの数しかいなかったため、私が客入れ…お客さまを受付でお迎えし、ご案内する役をしなければいけなかったのも大変でした。

まさかこのカッコで公演前に皆さんの前に出るわけにもいかないので、普通のカッコでお客さまをお迎えした後、1本目の「天城越え」を上演している間にメイクと着替えをする…という作業を、上演のたびにやっていたのです。

これ、けっこうなプレッシャーでしたよ~。

時間はまぁ1時間ほどあるのですが、ヘア、メイク、着付けをこの時間内に絶対にやらなければならない!というのは、着物初心者の私には、かなりハードルが高かったです。

楽しそうに写真に写る共演者の後ろで、必死な私…(^^;;

また最後に髪をおろさなければならないので、髪はかんざし1本で留めていたのですが、これがまた日によってうまくまとまらないこともあり、さらに焦りました!

でも、静か~に焦っていたので、一緒に楽屋にいた共演者は気づいてなかったと思いますが。

今までも着物を着て舞台に立っていましたが、その時は着方をYouTubeで勉強しただけでした。

着物っていろいろな着方があるのですが、その中でも簡単そうなものを選んで、画面を見ながら覚えたんです。


でも、今回の着物はもともとは引き振袖といって、裾に3センチほど綿がはいっており、裾を引きずるようにして着る着物だったんです。

それを、舞台なので普通に着たのですが、やはり裾が重いので、着崩れるかもしれない…あとは振袖なんて自分出来たことないし、この着物に合う帯もしめにくそうだし、一度ちゃんと習っておくか…ということで、着付けのお稽古に行きました。

お願いしたのは、小林布未子先生。CMや映像で着物の着付けをしている方で、楽で着崩れしない着付けを教えていらっしゃいます。

実は以前から存じ上げていて、いつかうかがいたいなと思っていたのですが、思い切って行ってきました!

先生はとにかく着物を特別なものにしたくない!今の時代に合った着方をして、どんどん着物を楽しんでほしい!という考えが強い方で、伊達締めは苦しいから別のものを簡単に自作したりと、100均のアイテムを使った着崩れない仕掛けをいろいろと教えていただきました。

おかげで、どんな動きをしても全く着崩れることなく、快適に着ることが出来ました。

しかも「きれいに着てるわね~」と、たくさんの方に言っていただき、やっぱりちゃんと習ってよかったなと思いました。


今回はホントに、着物が主役みたいなものでしたからね。

また着物をほめられると、祖母が喜んでいるような気がして…私も嬉しかったです。まさかこんな風に私が着るなんて、思ってもみなかっただろうなぁ。

あとは、長い振袖の袖や綿の入った裾の動きなどについて、実際の着物を着て練習する時間があまりなかったり、ラストシーンで私が乗る台がどんなものになるのか劇場に入ってからじゃないとわからなかったりと、集中しなければいけないことがたくさんありました。


また心情的にも、人形という、まさに「人でなし」というものを演じるのは初めてだったので、どんな風にしたらいいのか、いろいろ考えました。

出番は少ないのですが、とにかくずーっと緊張感を持って舞台袖にいるという状態…。


なので、1作品しか出ていないのに、セリフや読みはほとんどないのに…疲れました。

でも、本当にたくさんのお客さまがいらしてくださり、楽しんで帰って行くのを見るのはとてもうれしかった!

大変だったけど、そこから得たものもたくさんありました。

新しい劇場で挑戦できたこともあったりと、やりがいのあった公演でした。共演者、スタッフさんたちには、本当に感謝です。

次回はまた違う世界に皆さまをお連れしますので、どうぞお楽しみに!


とりあえず、涼しくなったら着物で出かけます~(^^)


Mido Labo HP