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オンライントラベルlog

高くて泊まれなくなるホテル

2016.01.25 22:36

最近では特にめずらしくもなくなった都市部のホテル料金の高騰についての記事だが、アパの社長のインタビューが載っていて非常に強気な発言をあけっぴろげにしているのに驚いた。

——かつての駅近・低価格を打ち出したアパは、サラリーマンの味方だった。このままではサラリーマンの出張手当ではアパホテルに泊まれない。

「他のホテルをお使いになればいいですよ。ウチはいたずらな価格競争ではなく、50インチの大画面テレビやシーリーと共同開発したオリジナルベッドを導入するなど、世界中からいらっしゃるお客様にくつろげる空間をご提供し、満足していただけるホテルを目指しています。

現状でも日本のホテルは総じて価格が安い。ウチは各ホテルの定価の1・8倍を上限に支配人に価格を設定する裁量を認めています。他の国ではオリンピックの時期なら5倍、10倍になってもおかしくはない。

そもそも、東京や大阪に出張があるからといって、わざわざ都心に泊まらなくても、電車で20〜30分の近郊まで行けば手頃な値段で泊まることができます。アメリカのビジネスマンは、ホテル料金の高いニューヨークのマンハッタンで仕事があっても、下町のニュージャージーの料金の安いホテルに泊まって、そこから電車でマンハッタンまで出てきますよ」


まぁ確かにその通りだとは思うが、ここまで潔くメディアを通じて他のホテルを使ってくださいと公言されると衝撃的ではある。こう言えてしまうぐらい将来にわたって日本のホテル業界は強気で攻められる状況にあるということだろう。

振り返ればリーマンショック以降、つい2年前まではホテルの単価は下がり続けていて旅行者にとっては非常に旅行のしやすい環境だった。

円安やビザの緩和により訪日外国人が増えあっという間に売り手市場に様変わりし、今後は日本の旅行者は相応の金銭的余裕がないと週末の都市部に泊まることは出来なくなってくる気配すらある。

サプライヤーから仕入れた商品を旅行客に向けて販売している身としては痛し痒しな状況ではある。

いままで低価格で利幅が低い状況で我慢してきたホテル業界は恩恵が得られ、それは旅行業界従事者を増やすにも非常に歓迎すべきことだし、高価格で物が販売できれば旅行事業者としても効率がいい。

ただし肝心の買い手である旅行者が大好きな旅行に行ける回数も減ってしまうかもしれない。商売は別にしてもすべての人に素敵な旅行体験をたくさんしてほしいという観点からも非常に逆風だ。

今後は階層化がさけばれているのと同様、旅行者の経済状況によっては旅行はさらに生活に余裕のある人向けの娯楽になって行く可能性がある。

われわれ旅行事業者として、すべての人に旅行を楽しんでもらうには民泊やゲストハウス、カプセルなども含めた新たな低価格帯の宿を積極的に仕入れ、LCCを推進する策をとることで多くの旅行者が旅行ができるようにしていくことしかないのかもしれない。