シシバラク
アッサラームアライクム。
ヨルダン南部のマアーン市郊外に住む佳子です。
突然悲しいお知らせですが、昨年の12月からこのコラムを担当させていただきましたが残念ながら今回で最終回となります。
冊子のレシピも含め全部で37回執筆しました。
至らない点が多々あったと思いますが、毎回ご愛読いただいたことに感謝の気持ちで一杯です。
このような機会をいただきました関係者の方々に心よりお礼を申し上げます。
アラブ料理を知らない方や難しいと感じている方に、披露でき大変貴重な場をいただきました。
また私事でありますが、娘たちには小さい頃からレシピノートを作り、一緒に料理をしながら書いていってもらいました。
でも大半がお菓子や和食になっていたので、このような場でアラブ料理の簡単レシピを書き残せたことが子供たちにとっても良かったと思っています。
どうぞ皆様、これらのレシピを保存し今後ともご活用ください。
さて最終回のレシピはずっと書きたかった「シシバラク」です。
これはアラブの餃子でヨーグルトと煮込みます。
中央アジアでもよく似たものがあり、イタリアのラビオリから餃子まで通じるものを感じます。
発祥はウズベキスタン(老人の耳と言う名前)で、トルコ(マントゥと言う名前)、ヒジャージ北部地方(マアーン含む)に伝わりビラードシャム(ヨルダン、パレスチナ、シリア、レバノン)に拡がったそうです。
「シシバラク」は「シシダラク」と言う「軍人の帽子」が語源と言う説があります。
(私のシシバラクは帽子風でなく三日月風ですが)
主に家庭料理で特に寒い冬場になると食べたくなります。
スープの材料ですが、南部では乾燥ヨーグルトのレバンジャミードを使い、北部ではヨーグルトで煮込み最後に生コリアンダーを入れる方法があります。
預言者ムハンマド様(SAW)は全粒粉パンを好まれて食されていたようで、もしかしてシシバラクも食されていたのではと言う浪漫に慕ってしまいます。
(ちなみに他に好まれた食材は、肉は背中と肩の部分、きゅうり、ハチミツ、ロトブ(ナツメヤシの半熟)、タメル(ナツメヤシの完熟)、スイカ、ウサギ肉、鶏肉、お酢、特にかぼちゃは有名で私と同じなので大変光栄です)。
生地が残ればうどんのように切り、ヨーグルトで煮込めば「ラガーガ」と言うマアーンの伝統的な「アラビーうどん」になります。
大阪出身の私には何とも嬉しいメニューで、日本で有名にしたいくらいです!
我が家では大量に作り、半分をシシバラク用に半分を餃子風にして、2つの味を1度に楽しんでいます。
子供たちが小さい頃は生地を粘土のように遊びながら、いろんな形を作って楽しんでいました。
帽子型?UFO型?楕円型?丸型?自分で作ったものは自分が食べるのを条件に自由に作っていました。
今思えば楽しい想い出です。
たくさんの「シシバラク」談義がありますが、この辺でレシピにしましょう。
是非お試しください。
「シシバラク」4人分
(写真はレバンジャミード使用)
*具の材料
*玉ねぎ 1個
*牛または羊挽肉 200g
*ミックススパイス 大さじ1
*クミン 大さじ1
*塩 大さじ1
*サラダ油 大さじ2
#生地の材料
#全粒粉100g
#中力粉300g
#塩大さじ1
#水300㏄
☆スープの材料
☆ヨーグルト 500g
☆水 1カップ
☆塩 大さじ1
☆コーンスターチ 大さじ1
トッピングとしてお好みでオリーブオイルや溶かしギーまたはバター。
〈作り方〉
1ー *材料から 中身の具を作る。
フライパンでサラダ油を熱し、みじん切りした玉ねぎを炒め、
挽き肉と調味料を入れ、よく炒める。…Aとする
2ー#材料から生地を作る。ボウルに全て入れよくこねる。…Bとする
3ーBの生地で厚めの餃子の皮を作る。
直径約3㎝の生地にAの具を詰める。…Cとする
4ー☆材料からスープを作る。
全てをミキサーに入れ混ぜる。
鍋に移し、沸騰するまでよく混ぜる。(凝固を防ぐため。)
5ー沸騰したスープにCを入れて、10分ほど煮込む。
深皿に盛り、上にお好みのギーやオリーブオイルをかけて出来上がり。