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検査後のフォローは?

2018.08.31 00:00

出生児の50人に1人が、体外受精で産まれています。


全体の28%が35歳以上の出産になっています。


このデータから言えることは、昔と同じ考え方、倫理観で生殖医療を捉えることは現実的に不可能だということです。


多くの夫婦が、高齢でそして不妊治療を経て子どもが出来ているわけです。


やはり、医療は私たちが思う以上に進歩しているのです。


ただ、その中で体外受精では女の子を産みたい場合は、卵子の検査で女の子の遺伝子を持つ卵子を受精させることに、差別があるのではないか?


新型出生前診断であれば、選択的中絶を促すのではないか?


という考え方が常につきまとっています。


こうした考えが、それを望む夫婦にとって心理的な負担になっていることは、言わずとも分かると思います。


医療が進歩して、子どもの産み分けであったり、染色体異常を持つ子どもが分かる時代です。


これが、保険適応になり誰でも受けられるようになって初めて、問題というのが露呈すると思うのです。


今はこうした医療は、自費であり、保険適応外です。


ですから、望む人は受け、望まない人は受けないという前提でこうした生殖医療があると思うのです。


決して、自分の価値観や社会性を押し付けることはあってはなりません。


日本の医療というのは、患者が希望するから受けられるものであって、良かれと様々な検査や治療は為されないわけです。


インフォームドコンセントやセカンドオピニオンといった患者自身の選択権が与えられています。


ですから、新型出生前診断や着床前診断を否定することは、インフォームドコンセントやセカンドオピニオンの考えを逸脱してしまう恐れが多分にあるのです。


インフルエンザの予防接種にしても、受ける人と受けない人がいます。


それ以上でもそれ以下でもないのです。


希望する方が、受けられる医療というのが日本の医療のスタンスであって、それが社会によって捻じ曲げられることがとても残念なことです。


新型出生前診断を受ける妊婦さんの中には、体外受精で授かった胎児が正常に発育しているか知りたいと思う方もいます。


そこで、陽性が出た場合、せっかくお金をかけて子どもが出来たのだから産みたいと思う方もいれば、


夫婦だけの願いや思いだけで産むことはどうなのかと思う方もいます。


「正しい選択」は、産むことなのか?


中絶することなのか?


それは、夫婦にも分からないと思うのです。


でも、どんな選択をしても、その運命を受け入れてそれに対応していく。


これしか出来ないと思うのです。


産むことが全てではないし、ゴールではありません。


中絶をすることが、全て正しいとは思いません。


ただ、こうした検査を受けて、その結果からどうしていくか?


考える夫婦の心理的なサポートが今の日本は欠けていると思うのです。


新型出生前診断を受ける前に遺伝カウンセリングをすることが学会では義務付けられていますが、


やはり、検査後のフォローというものがとても大切な気がするのです。


このフォローが不足しているために、偏った考え方で命の選択が行われることが問題であって、


考えて、考えて、それでも考えて出した結論は良いと思うのです。


ですから、新型出生前診断を受ける時にはフォローが充実した施設を利用して欲しのです。


それが、夫婦のために夫婦による夫婦の正しい選択に導かれると思うのです。