【第693回】石田聖也(そめごころ)
〈私のリアリズム〉
題名は〈私のリアリズム〉ということだけ決めて、見切り発車で自分の意識の中の言葉を吐き出してみることにします。
私は「演劇」を芸術として捉え、取り組んできました。ただ、自分の作品や取り組みが、今の私にとって、芸術や演劇の機能をはたしてさえいれば、誰かにとっての「演劇」に当てはまらなかったとしてもまぁそれはそれでかまわないと思っています。
とはいえ「じゃあ、あなたは演劇についてどう考えて、いかに取り組んでいるの?」なんてことをきいてくれる人は意外にもあまりいないので、こういった機会に色々書いてみようというわけです。
私はこれまで様々な作家や作品に触れるなかで、芸術家は意識的・無意識的に自身のリアリティをどこまでも追及する生き物だなぁ、と感じてきました。それは既存のリアリズムという言葉に必ずしも当てはまるものでもなく、各々が本質に迫るために自分のリアリズムを突き詰めているのだと考えるのです。私にとってリアリズムとは、システムやスタイルでも、形式でも手法でもなく、芸術家の前提を支える精神性のようなものです。
去年の12月、活動の拠点を早良区飯場のアトリエへと移し、稽古やイベントのたびに山に通いながら、私も自身の追求すべきリアリティについて思考と実践を繰り返してきました。
そして現在の私の取り組みとしては、物語という容れ物を用意し、人間の意識の流れを、時間や空間を共有している他者(観客)へと伝達するような価値観から距離を取り、人間の魂という物的に還元しにくいものをありのまま、複雑なまま全体的につかまえることができないか。魂という存在の実感をどのようにして得るか、演劇によって魂の伝達は可能であるか。そのようなことです。
今作『自然的人間』も、そのような文脈から創作されている演劇作品です。私にとって魂なるものは、ある意味では自然という言葉や演劇という表現にとても近しい存在です。それはNaturalでありNatureでもあり、人間の内側や周辺の自然、その実感に演劇を用いて近づいていくこと、それが今の私の追及するリアリティということだと理解しています。
私は演劇を関係性によって発生する総合的で現象的な存在だと解釈しています。演劇は空間や時間の中から切り取って、持ち運んで、いつでも楽しめるコンテンツではありません。ましてや小さなスマホの画面で観る公演の映像や、コロナ禍で流行ったオンライン演劇なるものは、私からすれば演劇とは無関係に等しいのです。
そんなわけで、そめごころの作品をお客様に観てもらうには、演劇ではなくお客さんに体を運んでいただく他、方法がありません。これはもう、、、しょうがないですね。
そめごころ 石田聖也
somegokoroレパートリーシアター♯01「自然的人間」
出演
田島宏人
作/演出
石田聖也
照明
古野裕基
映像/音響
上野隆樹
宣伝美術
田村さえ
【Schedule】
2023年10月1日~11月26日(全15ステージ)
10月1日(日)19:00
10月8日(日)13:00/19:00
10月15日(日)13:00/19:00
10月22日(日)13:00/19:00
10月29日(日)休演日
11月5日(日)13:00/19:00
11月12日(日)13:00/19:00
11月19日(日)13:00/19:00
11月26日(日)13:00/19:00
※11月の公演は中止となりました。
詳細は団体HP、Xにてご確認ください。
HP https://somegokoro.com/2023/10/30/01/
【Place】
somegokoroアトリエ
(福岡市早良区飯場224-1)
【Ticket】※要予約
前売り:2,500円
リピート割:2,000円
学生又は20歳以下無料
※学生証提示必要
〈予約フォーム〉
https://forms.gle/FVhb3apD5dzhGvv49
【Access】
○曲渕線乗合タクシー(最寄駅:飯場 ※現金支払い)
https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/42720/1/riyougaidoeturann.pdf?20220930140648
○車でお越しの方は駐車場をご利用できます(3~4台駐車可能)
※お寺の駐車場への駐車はご遠慮願います。
〈そめごころによる送迎〉
各回、開演の1時間前の集合とさせていただきます。送迎を希望される方は予約フォームへご入力ください。(定員6名)
(地下鉄七隈線賀茂駅一番出口)
企画・製作:そめごころ
助成:(公財)福岡市文化芸術振興財団
「FFACステップアップ助成プログラム」
後援:福岡市、(公財)福岡市文化芸術振興財団
令和5年度第60回福岡市民芸術祭参加