オペラ座の怪人
オペラ座の怪人
Phantom of the Opera
2005年2月3日 有楽町 日本劇場にて
(2004年:アメリカ:143分:監督 ジョエル・シュマッカー)
有名舞台の映画化ですし、製作にアンドリュー・ロイド=ウェーバーが直接携わっていますから、舞台の雰囲気や、曲、あらすじは舞台に忠実です。
しかし、感心してしまったのは、冒頭ですね。舞台はオークションのシーンから始まり、猿のオルゴールが出てきて、次にオペラ座のシャンデリアの覆い布がぱっととられ、暗い舞台にそのシャンデリアの光が輝き始め、荘厳な音楽と共に天井へと登っていく・・・という演出なのですが、映画の方は特撮の粋を集めました、というただの舞台のなぞりにしていない工夫が見物。
それからオペラ座の地下へとつながる地下通路や地下水路とかは、映画ならではの映像です。
舞台未見の方はここを舞台でどうやったか、不思議に思われると思いますけれど、そういう方は舞台も観てね。
曲はそんなに多くなくて、同じ曲が色々なアレンジで、出てくるというものなので、メロディや歌が頭に残ります。
しかも大きな映画館の素晴らしい音響というのも、映画の体験としては欠かせない部分。
(だからこの映画はビデオやDVDでは観たいとは思わないですね)
オペラ座の地下で暮らすファントムとファントムに見いだされた歌姫、クリスティーナって源氏物語の光源氏と若紫(紫の上)のようでこういう設定は、古典としては定番なんですね。
ただし、クリスティーナは、久しぶりに出会った青年貴族、ラウルと恋に落ちますから、あ~女三宮と柏木か・・・。
もう、舞台ですから、こてこての舞台的演技が楽しめるかどうか、なんですね。こういうのがダメな方もいるかと思います。
ラウルと恋に落ちたクリスティーヌは、やはり父として、また自分の歌のマスターとしてのファントムの存在をすぐに断ち切ることはできない。そして嫉妬と憎悪に燃えてしまうファントムの哀しさ・・・という訳で、この「お話」は結構暗いのです。
その暗さがいいんですね~音楽もどちらかというと暗さに拍車かけるようなメロディだし、荘厳重厚だしで。
私がクリスティーヌだったら、ファントムと一緒になってオペラ座の地下に悪と芸術の帝国作るけどなぁ~など不謹慎なことを思いつつ、2時間23分という長さを堪能してしまいました。
クリスティーヌ役のエミー・ロッサムの17歳の無垢さと大人の色気が同居する美しさがいいですね。時に無垢、時に色気たっぷりで歌も吹き替えなしで綺麗な声です。
ファントムの素顔というのは舞台では出さないのですが、そこの部分も大きく違いますね。ジェラルド・バトラーのファントムなりきりぶりっていうのも演劇的な演出で、ちょっと過度ですけれども悲しくも格好良かったですよ。