川風の土曜日
2024.09.23 14:29
去年の9月23に掲載する予定だった日記。
どうしても伝えたいことがあって、差し替えをしてしまったために
お蔵入りになっていたので、1年経ってしまったけれど公開することにしました。
雨の切れ間を縫うように。ふたり仲良く
「陸の孤島」に、片付けに行って来ました。
変わることを知らないのかな?この町は…。
片付けと言うよりは、仕分けの段取りなのかな。
窓の外には、給水塔の先端にUFOを乗せている。
変わることを知らない方が、良い時もある。
僕は、彼女に向かって、こう言った。
「これ。もらっていくよ。」
上空を走る首都高速。工場沿いの細い道を歩く。
色褪せた郵便ポストを横目で見る。
夜空に一番近いバス停に向かう。長い階段を上る。
いつまでも、変わってほしくない風景を眺める。
バスの後部座席に座って、ポケットの中に手を入れる。
となりに座る彼女が、不思議そうに気にしている。
「キーホルダーだよ。きっと、年代物のね。」
バスは、急な角度で「櫻木五叉路」を下っていく。
窓ガラスに写る彼女の眼差しは、微笑んでいた。
床に溜まった、雨の小さな水たまりに、傘の先で
彼女はハートを描いていた。