「宇田川源流」 ゼレンスキー大統領の訴えた国連改革
「宇田川源流」 ゼレンスキー大統領の訴えた国連改革
ゼレンスキー大統領が国連で演説した。大変申し訳ない言い方をすれば、すでにゼレンスキー大統領が何を話すかということなどは、想定されている通りの内容であったという気がする。昨年の国連総会で特例によりインターネットで演説をしたときは、そもそもウクライナが何を考えているのか、そしてロシアに対して何をしてほしいのかなど、様々なことが興味として存在していた。しかし、すでに、反抗を行っている状態になって来てしまうと、戦争に関して多くの国や人が、「ロシアのウクライナ侵攻」に対する自分のスタンスというものを見て、そのうえで、その中で自分のできる行動を決めているということになる。そして早い人はすでにその行動を行っているということになるのであろう。そのような中でゼレンスキー大統領が、今度は国連の現場に来て話をするという事であった。
しかし、形式は変わっても、つまり直接こちらに来たとしても、それは、「移動ができる」ということをわかっただけの話で、それ以外には、目新しいことはないということになる。
私はよく本の話をするのであるが、例えば、「保守の論客」として有名な人が、新しい新刊の本を書いたとしても、それは、また似たような内容でしかないのであろう。その人の本のコレクターであれば、その本を買おうと思うかもしれないが、しかし、そうでなければ、「同じことの繰り返し」というように思うだけのことである。
つまり、ゼレンスキー大統領に関しても、全く同じで「また同じ」ことを話すのであろうというような感覚になってしまっている。そのことから国連総会の議場では「空席」が目立ったということになる。
もちろん、同じことを言っているのであれば聞く必要もないということになるし、また、国連としては新たな何か決議事項があるというわけでもない。
しかし、一方で「同じようなことを言わなければならない状態が現在も続いている」ということであることは間違いがない事実であり、その戦争状態を、国連という場がありながら、一年半も放置しているということも、また事実なのである。
ゼレンスキー大統領「私たちの団結が必要だ」国連総会で演説
ウクライナのゼレンスキー大統領が国連総会で一般討論演説を行い、各国に支援の継続を呼びかけました。ニューヨークの国連本部から渡邊翔記者が伝えます。
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ロシアによる侵攻後、初めて国連総会に対面で出席したゼレンスキー大統領ですが、侵攻から1年半が過ぎる中で、支援継続を訴える難しさもかいま見えました。
ゼレンスキー大統領「核兵器が抑制されるように侵略者の戦争の手段や、そのメッセージも抑制されなければならない。侵略が二度と起こらないようにするためには私たちの団結が必要だ」
ゼレンスキー大統領は、ウクライナから穀物輸出を支援する国々に感謝を述べた上で、各国に支援の継続や、提案する和平案への支持を呼びかけました。ただ、議場には空席が目立ち、去年のような「ウクライナ一色」という雰囲気はないのが実情です。
国連で多数を占める新興・途上国「グローバル・サウス」各国がウクライナ侵攻以外にもさまざまな世界の課題の解決を求める中、ゼレンスキー大統領としては、これらの国々にどこまで支援継続の重要性を説得できるかが大きな焦点です。
一方、アメリカのバイデン大統領もウクライナ支援を継続する決意を強調しました。
バイデン大統領「もしウクライナが切り刻まれるのを許せば各国の独立は安泰なのか? 答えはノーだ」
ただ、演説でウクライナ侵攻に触れたのは数分ほどで、アメリカメディアからは「驚くほど少なかった」との指摘も出ています。
2023年9月20日 6時4分 日テレNEWS
https://news.livedoor.com/article/detail/25018422/
ロシアの反発、議長が一蹴 ウクライナ大統領の安保理演説―国連総会
【ニューヨーク時事】ウクライナ情勢に関する国連安保理首脳級会合で20日、同国のゼレンスキー大統領の演説順にロシア側が反発し、紛糾する一幕があった。議長を務めるアルバニアのラマ首相が一蹴。安保理での溝の深さを印象付けた。
ウクライナにもう武器送らず 穀物受け入れで対立―ポーランド
「なぜウクライナの大統領が優先されるのか」。会合開始直後、ロシアのネベンジャ国連大使が、15理事国より先にゼレンスキー氏の演説が予定されていることに異議を唱えた。
ラマ氏は「ルールの特別な運用ではなく、確立された慣例だ」と説明。ネベンジャ氏は引き下がらず、過去にゼレンスキー氏が安保理でオンライン演説を認められたことも特別扱いだったと、不満をまくし立てた。
これに対しラマ氏は「解決策がある」と切り返し、「あなた(ロシア)が戦争をやめれば、ゼレンスキー氏が演説する必要はない」と言い切った。
ネベンジャ氏はその後もラマ氏への批判を続けたが、最後にはラマ氏が押し切り、討議が始まった。ネベンジャ氏はゼレンスキー氏の演説中、携帯電話を操作し続けて「無視」。ロシアのラブロフ外相は自らの演説順まで姿を現さず、ゼレンスキー氏と顔を合わせることはなかった。
2023年09月21日13時32分 時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023092100535&g=int
現在の注目点は「国連は何ができるのか」という事であろう。そもそも「第二次世界大戦」で日本とドイツに勝った「連合国」が本来の内容であり、すべての国が連合国に入った場合、敵対サイドがなくなるのであるから戦争はなくなるという論理が、国連の内容である。そもそも「国連」ではなく、「連合国」というように訳すべきであり、そのようにすることによって「軍事同盟」の色が強くなり、なおかつ「安全保障理事会」が最も重要な役目をしているということがよくわかる。
日本では「国連主義」「世界政府主義」のような政治主張があり、その内容が「国連」そのものを神格化している。その人々が同時に「左翼的で憲法9条を推進している」ということ自体が、日本人の不勉強と滑稽さを出してしまっている。戦争反対を軍事同盟の会合で主張するという頭の悪さは、さすがに驚くとしか言いようがない、沖縄の県知事は、そのようなことをしているのであるから、その行動の滑稽さは「不勉強」というだけで済まされるレベルを超えているのではないか。
さて、日本の話は別にして、ゼレンスキー大統領の演説に対してロシアは意義をさしはさんだ。もちろんロシアとしては当然のことであろう。そして上記にあるようなエピソードにつながる。逆に言えば、「国連総会はロシアに対して戦争を強制的にやめさせる力はない」ということを言っていることに等しい。ラマ首相は正しいことをいっているのであるが、一方で、国連が力がないということも明らかにしている。
実際に国連常任理事国の拒否権は、旧国際連盟における日本の脱退などから第二次世界大戦を抑止することができなくなった、当時の日本やドイツと対話の窓口がなくなってしまったということから、拒否権を設けることで脱退を防ぎ、最後まで対話の窓口をいつ来るということを目的にしたものである。しかし、そのことが国連全体の力を失わせていることも事実であろう。
私のような歴史小説家にしてみれば、現在の国際連合と、室町時代の足利将軍家、つまり室町幕府とはほぼ同じような感じでとらえている。室町幕府も三管領四職といわれる幹部がいて、そこが強大な力を持ち、その力によって反乱を抑えていたのであるが、最終的にこの管領の家のお家騒動(畠山家)の内容から、第八代将軍足利義政の介入を招き、そのうえで管領筆頭の細川家と、四職の山名騒然の戦いである応仁の乱が発生し、そのうえで、各家が「現地司令官」である守護代や国人によって独立が進み戦国時代になってゆく。まさに、幕府自体が大きな力を持つことなく大名たちの問題を直接武力で解決できるような内容ではなかったということを意味しているのである。まさに今の国連と全く同じだ。
そのように考えれば、「今のままでは、戦国時代が到来する」ということになり、その内容を見てゆけば、なんとなくその様相を呈しているのではないか。
早急にその内容や国連の改革が必要である。今回のゼレンスキー大統領の演説はそのことを世界の知らせてくれたのではないか。