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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

第8回十字軍1-フレグ、バグダード陥落

2018.09.01 12:05

その頃中東ではたいへんな事態が起こっていた。1257年ついにモンゴル勢のイルハンフレグは10万の大軍でバグダードを包囲した。アッバース朝のカリフ、ムスタアスウィムに対し、「日輪に逆らうことはならじ」とどっかの国みたいなことを言って降伏を勧告、しかしプライドだけ高いカリフはまともに拒否した。

翌年2月、モンゴルは城壁を登り、東岸地区を制圧。カリフは降伏を決意すると、首都防衛の兵が逃げるなら許すと返答。それをきいて逃亡した兵は待ち構えたモンゴルの餌食となった。2月10日カリフは投降し、13日都入りしたモンゴルは略奪の限りを尽くし、80万人が虐殺された。但しキリスト教徒はそれを免れた。実は正妻が東方キリスト教徒だったのだ。

バグダードは人工都市である。灌漑施設が破壊されれば大都市として存続はできない。幾世紀にもわたった繁栄はここに終わった。バグダードの滅亡はイスラムに衝撃を持って迎えられ、モスルやセルジュクのスルタン達が、モンゴルの基にいそいそと下り、忠誠を誓った。

一方、キリスト教は「天罰が下った」と喝采を贈った。なんとなれば妻が一応キリスト教徒だったからだ。何とコンスタンチン大帝と大皇后ヘレナになぞらえたという、いや褒めすぎだろう。んなこたカンケーないモンゴルは、シリアやパレスチナに侵攻するのだ。