大人旅1
出不精なおひょいとしては珍しく、
家族と関係のない旅行に行った。
単純な楽しさの追求でしかない、
大学のソフト部同期の集まりである。
私は高校まで過ごした地元は大好きだが、
水が合わないというか、
幼なじみも友人も地元にはほとんどいない。
自分の人生が始まったのは大学からだと思っているので、
ソフト部の連中は一番大事な友人たちなのである。
ただめんどくさいのは、
大学の友人は全国に散らばっていること。
そのおかげで誰かの結婚式以来、
もう十数年顔を合わせていない。
いざ集まろうとするとまず場所が難しいのだ。
そこで今回は
「あえて誰にも関係ない場所」
として、博多旅行に決まった。
これが良かった。
まず何より博多というところは、
何を食べてもおいしいのである。
B級ソウルフードから肉から魚から、
なんでもハズレがない。
無駄に食に厳しいグルメなおひょいには
ありがたい街だった。
そして街がコンパクトで、
見どころがだいたい半径30分程度の範囲に収まっているから、
あちこち動き回っても苦にならないのだ。
新卒から20年以上JTBに勤めていた
昔から生真面目が服を着て歩いてるようなヤツが、
2カ月前から行程表や予算表を念入りに作成してくれたおかげで、
完璧なスケジュール管理で動いているのに心地よい。
持つべきものはJTBの友人である。
まじめオーラを服ごときでは隠しきれない彼は、
博多の教科書的なオススメ観光地を次々案内していく。
これも思いのほか正解だった。
なんせ気心知れた仲間うちとはいえ、
数十年も違う人生を過ごしてきた大人同士なのである。
昔話で一日中盛り上がってられないから、
何かしらウロウロしていたほうがいいのだ。
観光地には興味がないどころか、
オススメされても行かない私のような変態ガンコでも、
ありがたかったと感じた。
まず最初。
「麺が減らない」と言われるソウルフード、
有名店「牧のうどん」で到着そうそうランチ。
一番人気?の肉ごぼううどんである。
以前、伊勢うどんでコシのないうどんにやられたので、
今回私だけ「硬め」で注文するとこれが正解。
麺がやわらかくてダシをどんどん吸い込んで膨張するため、
減らないうどんと言われているのだろう。
おかげさまで私のうどんは順調に減った。
続いては謎の「かえる寺」。
ココはもう、
何が何だかまったく意味がわからない。
とにかく所狭しとかえるの置物が置かれているうえに、
「好きな人とずっといっしょにいられますように」
「今年中に彼氏ができますように」
みたいな、絶対に叶いそうにない願いが書かれた風鈴が、
やたらめったらぶら下がっているのである。
たぶん納得いく伝承もないような気がするし、
私はいったいどうしたらいいのか誰か教えてほしい、
と困る場所だった。
つづく