「政と源」/三浦しをん【歳を取ってから痛感!腐れ縁は大切】
家族じゃなくても支え合う方法はある
「政と源」/三浦しをん
タイトルを見て時代小説?と思って手にとったら、実際は、73歳になった二人の幼なじみの日々を切り取った物語だった。
(時代小説だったら、”平と源”になるか。
源に引っ張られたな。)
”政”は、がむしゃらに働いてきた銀行を退職し、1人で手持無沙汰な老後を過ごしている。
妻も孫もいるが、妻は家を出て、娘夫婦と孫と同居している。
言うならば、
”男は黙って仕事一筋、燃え尽き型”
”源”は、つまみ簪(かんざし)職人として現役。
妻には先立たれ子供はいないけど、孫ほどの年齢の弟子を持ち賑やかに生活している。
こちらは、
”生涯現役、破天荒型”
「政と源」の前半では、政の妻が出ていったあと、1人きりの時間を持て余す日常が描かれている。
政の愚痴を読みながら、この春亡くなった祖父を思い出して悲しくなってきてしまった。
(うちの祖父は、祖母と死別だけど・・・)
活字が読みにくくなっているけど、新聞や本を読む時間がたっぷりある。
夜中にトイレで何度も目が覚めてしまうから、布団の中で翌日も何の予定もないのにひたすら朝が来るのを待つ。
食事は自分で用意して一人きりで食べる。
”政”老いと孤独を感じながらも見栄を張って、助けを求められない姿を見ていると、どうしたって祖父を思い出してしまい、せつなくなった。
もっと近くに居られたら、もっと長生きしてくれてたかな。
・・・そんなこんなで、うじうじしながらページをめくり続けていると、だんだんと”源”に、気持ちを引き上げられていく。
「政と源」の中では、基本的に”政”がネガティブなのに対し、”源”は常にポジティブに描かれている。
作品で切り取られている、73歳の時点を読んでいると、”源”は常に頼もしく、”政”は助けられるばかりに見えるけど、長い2人の関係の中では、”源”にとって”政”が頼もしかった時代もあったよう。
素晴らしいものも黒歴史も2人にはたくさんの思い出があって、それを一緒に記憶の中から取り出して語りあえるし、まだまだ一緒に思い出を作れる。
老後(源の場合はまだ現役だけど)、寂しさを癒してくれるのは、家族だけじゃないんだ。
幼馴染っていいな。
2人の73歳の日々のなかに過去の回想も含みながら、
家族に出ていかれた政は、家族関係を修復できるのか?
源の弟子の未来はどうなるのか?
と・・・ストーリーに分かりやすい山があるから、読みやすい。
友達と一緒に年を重ねていくためにも、健康づくりは大切!
駅の階段にカロリー表示がされていた!
”お疲れ様”まで言ってくれるなんて、これは、歩く気になれる!
たった3.4kcalと侮るべからず。
積み重ねれば・・・