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ペンと非暴力

動物擁護団体の性搾取問題【参考資料2】

2023.09.27 03:18


アメリカにおける性的人身取引の現実と

LUSHの化粧品に代わる女性たちのための代替品

2015年2月1日 Vegan Feminist Network


PBS〔公共放送サービス〕は現在、アメリカの性的人身取引に関する素晴らしいドキュメンタリー『道は現れる(A Path Appears)』をストリーミングしている。統計は深刻なものである。アメリカ人の大半は性売買を「選択」や「犠牲者なき犯罪」と信じているが、現実をみれば当事者の女性たちは(主として貧困に悩む女性や有色の女性で)深刻な心的外傷や児童虐待(通常は性的なそれ)のサバイバーからなる。性売買は最も脆弱な立場に置かれた人々の再被害にほかならない。人ならぬ動物たちの苦しみ(「食肉」・乳製品・ロデオ・動物園・「ペット」等々)の消費と同じく、この支配と破壊の関係を同意にもとづく互恵的な関係とみることは容易である。しかしそれは真実から程遠い。性売買はあらゆる面からみて性的人身取引以外の何物でもない。

このビーガン・フェミニスト・ネットワークで、私は人ならぬ動物の権利運動が組織やビーガニズムやビーガン商品を売り込むために女性身体を貶めてきたことにたびたび批判を向けてきた。女性身体は別の人間の得のために売買されるが、私たちはあまりにもしばしば「相互不干渉」の立場をとり、女性たちがこれらの活動をするのは純粋に「選択」であって、それは「犠牲者なき」行ない、あるいは「無害な芝居」にすぎないと考える。しかし女性身体の貶めは単なる個人の選択の問題ではない以上、私たちが向き合うべき事柄であり、目を背けてはならない。強力なジェンダーロールと性差別文化は女性たちに特有の機会を与える。そしてその機会は公平に分配されない。研究からはっきり分かるのは、性的客体化と女性身体の貶めが、集団としての女性たち、中でも脆弱な立場の女性たちに、現実の物理的害悪をおよぼす実態である。裕福な白人女性は、裸になってPETAのためにトーフッティのデザートを配る、あるいはLUSHのためにチラシを配る際にも、ある程度の自主性を保てるだけの特権に浴しているかもしれないが、私たちのコミュニティに暮らす現実の女性たちは、女性身体を商品とみる考え方に支えられたミソジニーのイデオロギーに加害されている。

人々はLUSHが女性の性的客体化を行なっていると知ってしばしば面食らう。そして大勢が頑なに同社を弁護する一方、他の人々はほかにどんな代替品があるかを問う。実のところ、LUSHはビーガン企業ですらない。女性と人間以外の動物をともに尊重する形でボディケア用品をつくる100%ビーガンの企業は数多く存在する。もちろん、100%ビーガンの企業は常に利用できるとはかぎらず、一部の人々はビーガニズムの成長を促すためにもビーガンに配慮した企業のビーガンオプションを応援したいと考える。私がひそかに喜んだのは、『道は現れる』で紹介されていた、性取引サバイバーの女性や少女を救済・支援する非営利団体〔Thistle Farms〕が、その女性たちを雇うとともに、動物に配慮した入浴・ボディケア用品を扱う団体内事業に投資をしていることだった。ウェブサイトによると、その製品のほぼ全て(蜜蝋やラノリンを含む一部製品および暴力の産物である製品以外)はビーガン仕様で、動物実験は一切していないという。

ビーガニズムは人ならぬ動物たちへの思いやりと正義だけで終わってはならない。女性たちや他の脆弱な集団があなたの消費によって加害されているのなら、それもまた問われる必要がある。私はこのドキュメンタリーを強く勧め、各人が(この心の琴線に触れるかもしれない作品と向き合う準備を整えたうえで)観て、学び、活動家としての想像力を膨らませるよう願いたい。次にLUSHの商品を買おうと思った時は、考え直そう。代わりにThistle Farmsを覗いてみるのがよい。私たちは抑圧を交差性の観点から理解する必要がある。これら全ての問題は絡み合っているのだから。


元記事リンク:https://veganfeministnetwork.com/the-reality-of-sex-trafficking-in-the-u-s-and-women-positive-alternatives-to-lush-cosmetics/