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現代芸術14-芸術の破壊「未来派」

2023.09.27 11:17

ピカソの伝統芸術への挑戦はさらに続く。1912年には「ギター 楽譜 グラス」を制作したがここには楽譜の一部が張り付けられている、彼は伝統のオリジナルという概念に挑戦したのだ、これは後にマスセル・デュシャンのダダイズムやアンディ・ウォーホルのポップアートにつながっていく。

さらに左下には新聞の見出しが貼りつけられているが、これはなんと第一次バルカン戦争勃発の特ダネである、ピカソは絵画の中に時事を入れ込み、これは後に最高傑作「ゲルニカ」で大成する。彼は戦争と激動する時世の中で、美術とは何かを試行錯誤していたのだ。

1909年、イタリアの詩人マリネッティによって「未来主義創立宣言」が発せられた。未来派は20世紀の都市化や鉄道、自動車の速度や騒音を賛美し、旧世界の破壊をほめたたえる。マリネッティは「パローレ・イン・リベルタ(自由な言語)」で文字を象形文字のように使った。

右の作品では、Mが山、Vが谷、Sが道を表し、その間には「フランス万歳」「ドイツ野郎に死を」という言葉が挟まれている。つまりこの作品は戦争のプロパガンダである。マリネッティらは、ソレルの「暴力論」に影響されて、端的な破壊である戦争をも未来のために美化するようになる。