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童話作家|浜尾まさひろ

第24回 幼年童話を書いてみる 1

2023.10.03 04:17


幼年童話を書いてみる 1


幼年童話は幼児に語りかけるような文章を心がけるため、気軽に書けそうに思われがちです。育児中のお母さんや保育士なら、子の目線になれるにしても、私にとっては一番やっかいで難しいのがこのジャンルです。

幼児にとっては、例えば、人形や動物などは、人格をもった対等の友だちとして接することができます。花、ヌイグルミ、犬、パンダ、機関車、ビスケットなどが擬人化された童話や絵本が多いのもこのためです。

むかし書いた未発表作品は浮袋(浮き輪)を擬人化したものですが、大幅に手直しをしてみることにしました。問題点がどこにあるのかを3回にわたって煮詰めていきたいと思います。

ひろい海のまんなかに、うきぶくろが浮かんでいました。どこから流れてきたのか、うきぶくろは ふわふわ ふわふわ

あてもなく海のうえをさまよっていました。

「のんきなもんだねえ……」

カモメがよってきて、いったかとおもうとどこかにとんでいきました。

ある日のことです。

小さな女の子が、さんばしの上から海をながめていました。A

「あれ?」

と、女の子が目をみはりました。

きいろいものが浮かんでいるのはなにかな? 女の子はちかくで見ようと、まえかがみで歩みよったそのとき、足をすべらせて

ドボン!

と、海に落ちてしまいました。

水しぶきがあがって、女の子が水面に顔をだすと、くるしそうに、あっぷあっぷ あっぷっぷ……。

たいへんだ――。うきぶくろはハッとしました。

※ここまでが導入部です。タイトルは「ある日のできごと」5枚。溺れかかった女の子をうきぶくろが救出する話です。

1. 冒頭はカモメとうきぶくろの会話があった方が読者のつかみになります。

2. 黄色いうきぶくろであることを初めに書くべきでしょう。レモンのような黄色なのか、ヒマワリのような黄色なのか、イメージをくっきりさせると読者になお親切です。

3. Aは女の子の年齢、どんな服を着ているかを書くべきです。

4. 女の子が海に落ちる描写が不自然なので麦わら帽子をかぶせてみました。

5. 強風に麦わら帽子を飛ばさせることでアクションが生まれます。女の子が慌てる状況を作りだせば必然的に海に落ちる描写につながります。

6. 風がストーリー展開に重要なポイントになります。

浜尾


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