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キャンピングカーで日本一周

9月3日 三川町→大日坊→西川町(67km) 大日坊で即身仏を拝む

2018.09.04 00:01

道の駅「庄内みかわ」には、なんと5泊もしてしまった。

ここは、460台ほどの車が駐車できるとあって、スペースにゆとりがあり、さほどご迷惑をおかけしていないはず。温泉、スーパー、コインランドリーと道の駅内の施設も利用出来る限り利用したし……。

看板の屋根の上に ちょこんと腰掛けた子供達に見送られ、居心地の良い道の駅を後にする。


⭐️おすすめの道の駅認定⭐️ 道の駅「庄内みかわ」


出羽三山のうち、羽黒山は一昨日に頂上まで登って参詣した。残りの二山 名峰・月山は言うまでもなく、湯殿山もかなり歩かないと頂上には辿り着けない。ということで、このエリアにある 幾つかの寺院のうち、湯殿山の総本寺・大日坊瀧水寺に行くことにした。


国道112号を南下したあと、東に向きを変えると、道は梵字川に沿った登り坂となる。月山ダムの展望場を越えた辺りを左に逸れると、やがて長方形に重なる美しい棚田が見えてくる。


この辺りは山形の棚田20選に選出された「大網の棚田」というらしい。澄んだ沢の水が引かれ、稲穂は重そうに垂れている。先日の大雨でも倒伏せずにいるのだなと思っていると、茅葺の重厚かつ質朴な山門の前に出た。

看板を覗くと大日坊仁王門であった。

鎌倉時代の創建といわれる仁王門は、三間一戸の八脚門としては日本最古の建築とされている。

正面左右に風神雷神像。その奥には運慶作の仁王像のお姿が。

傍らには多数の草履や草鞋が奉納されている。

仁王門をくぐり、 

棚田のへりを登っていくと、弘法大師により創建された真言宗の寺院、大日坊瀧水寺の本堂がある。

大日坊は徳川将軍家の祈願寺。春日局が自ら参拝され、祈祷されたことでも有名である。


このお寺は湯殿山総本寺なので、その名の通り本来は湯殿山に鎮座していた。しかし、明治時代に入り神仏分離・廃仏毀釈ということで、時の政府から寺を神社とするように迫られ、それを拒否した事で弾圧を受けて寺は焼き討ちに、83代住職は殺害されてしまった。その後、本堂が地滑りにより被害を受けたことで、この地に移転されたという。


そして、ここには有名な「真如海上人の即身仏」がある。ということで、本堂に入り拝観させていただく。

即身仏を写真では見たことはあるが、実際に目にするというのはやや緊張するものだ。本堂の奥の一室にそれはあるらしく、その前で先に来ていた参拝者数名に住職が説明をしている最中だった。我々が最後尾に加わると、正面に朱赤の法衣を纏った真如海上人が、うなだれて、両手を前に垂らすようにして鎮座されているのが見えた。


即身仏というと、エジプトの「ミイラ」のようなものを考えるが、ミイラは死後内臓や脳を取り出し、防腐処理を施したもの。一方、即身仏は、本人が生前から自らの意思で断食や防腐物質の摂取を行い、肉体を死に至らしめる過程で徐々に自然乾燥させることで そのお姿を残すものであり、レントゲンで脳や内臓が保存されていることが確認されている。


具体的には、穀類を断ち、口にするのは生の木の皮や実、根のみの「木喰行」によって腐敗の原因となる脂肪分をそぎ落とし、漆を飲んで体内の細菌活動を押さえると同時に内部からの腐敗も防ぎ、その後、徐々に塩と水のみの断食に入る。こうして身体の準備が整ったところで、水はけの良い乾燥した高台に穴を掘り、その穴の中に入って土をかぶせ(穴中には炭などを入れて除湿し、呼吸穴のみ開けておく)、読経を繰り返し、外からの呼びかけに応じて鳴らす五鈷鈴の音が途絶えた時点で入定した(息を引き取った)と判断され、完全に土で埋めて3年ほど放置し、完全に乾燥した時点で掘り起こすのだという。


この即身仏となられた真如海上人は、寺から山一つ越えたところにある旧朝日村のごく普通の庶民の家で生を受けたが、幼少の頃より仏教の教えに惹かれ、不平等な社会を仏国楽土とするという望みを抱き、青年期になって出家し、なんと二十代で、すでに即身仏を志していたという。そして、70年余の歳月をかけて行者の苦行を積み重ね、江戸中期の1786年、96歳のときに土中に入定されたそうである。


また、この上人は、生前自ら即身仏を安置する場所まで指定されており、その場所を選んだ事で火災から逃れ、現存されていることから、予知能力も備わっておられたのではないかという。


即身仏の前で、寺や上人について、ひと通りお話をされたあと、

「苦行を積み重ねて、即身仏になられたお方の御講話、是非伺ってみたいと思いませんか? これから世の中は、どうなってゆくのかとか。恐山の霊媒師の方のように霊感の強い方なら、お話を伺うことが出来るんですが、誰かいらっしやいませんか?」と副住職。


修行を重ねる段階ごとに、何を考え、悟られていかれたのか。人々を救済したいという一心で行った苦行。救済としての現代人へのメッセージ、確かに欲しいものである。

帰り際、「御衣入御守」を頂く。上人の即身仏は6年に1度衣替えをなさるのだが、これは6年間纏われていた法衣を切り刻んだものを納めたお守りであり、やや恐る恐る手に取り持ち帰る。

今日は、国道を東にさらに進み、湯殿山と月山の麓を過ぎて、道の駅「にしかわ」に宿泊する。(KY)

道の駅には温泉施設が隣接している。

なんと料金は300円。

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