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詩人・作家 神泉 薫(Kaoru Shinsen)のブログ ~言の華~

店のメニューを高らかに詠う詩人、もじゃもじゃ頭の小熊秀雄。

2018.10.05 08:00


もじゃもじゃ頭で、なかなかのイケメン。


このひとは、北海道小樽出身の詩人、小説家、小熊 秀雄(おぐま ひでお)です。


秀雄は、幼いころから、さまざまな職業を経験し、生活と労働の中から、自分の詩を生み出していきました。


作家の中野重治は、秀雄について、こう言っています。「生活を唄ったというだけでは足りない。生活へのはたらきかけを唄ったというのでも足りない。日本の詩に哲学を引き入れた。」と。


39歳で亡くなりましたが、とても多才な人で、詩作にとどまらず、童話・評論・絵画など幅広い分野で活躍しました。


また晩年、旭太郎名義で原作を担当した漫画『火星探検』は、SF漫画の先駆的傑作とされ、手塚治虫、小松左京、筒井康隆、松本零士らに大きな影響を与えたのです。


そして、生真面目な一面だけでなく、ユーモラスなエピソードも。


池袋の喫茶店、ある朗読会でのこと。秀雄は、もじゃもじゃ頭で、つなぎの労働服を着て、ふらりと現れました。


みなで詩を持ち寄って読むはずの朗読会でしたが、その時、秀雄は、原稿を持ち合わせておらず、

何を読んだか。


なんと店のメニューをリズミカルに読んだとか。


ウィットに富んだ一面も魅力です。


調FMラジオ「神泉薫のことばの扉」放送分アーカイブにて、秀雄の詩「馬車の出発の歌」、人生とエピソードなど、ぜひ聴いてみてくださいね。




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