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Evidence Based Physical Therapy - 理学療法士 倉形裕史のページ

『体幹のインナーマッスルの正しい使い方の学習』は、腰痛治療に重要ではありません②

2018.09.04 21:40

おはようございます。理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。 

昨日から、『体幹のインナーマッスルの正しい使い方の学習』と腰痛治療の関係に関して書いています。

 昨日の記事では『モーターコントロールアプローチ』に関して書きました。

 今日はこの治療法に関する研究結果を調べてみます。 


著者:Macedo LG, Latimer J, Maher CG, Hodges PW,他 

タイトル:

Effect of motor control exercises versus graded activity in patients with chronic nonspecific low back pain: a randomized controlled trial. 

Phys Ther. 2012 Apr;92(4):631 

2012年の研究です。昨日話題に挙がったポール・ホッジス先生の名前も共著者の中にあります。

ちなみフリーでPDFが手に入りますのでご興味のある方はご覧ください。 


ここで、リハ専門職の方用に少し研究の概要を書きます。


 ・PICOは 下記です

  P:3か月以上継続する腰痛患者(18歳~80歳)

   I:8週間のモーターコントロールエクササイズと 

  C:8週間のグレーデットアクティビティを比較して 

  O:痛み、身体機能、QOLの改善に差があるか?  

・研究デザインはRCTです。

 ・N=172でリハビリ関連の研究としては規模が大きいです。 

・追跡率:最終的なdrop outは両グループ合わせて14名(8%)と追跡率も良いです。 

・方法の所を読むとITT解析を行ったようですが、drop outした対象者に関しての扱い方は書いてありません(平均的な結果を辿ったと予測するのか、改善がみられなかったと仮定するのか??)。

 概要終わり 



モーターコントロールと比べられているgraded activityというのは、患者教育を含む、『徐々に活動量を上げまていきましょう』と指導する方法です。

 この論文の中で挙げられている両者の違いを下記に示します。 日本語には私が訳しました。

 このようにみると、モーターコントロールエクササイズが緻密に体幹のインナーマッスルの使い方の学習をしていることがわかります。一方グレーデットアクティビティは「特定の筋を意識させない」や姿勢やインナーマッスルの使い方の学習に重きを置いていません。 



その結果は、下記です。 

どの時点においても、両者に差はありません。


 研究チームは、結論部分において、いくつかモーターコントロールエクササイズに有利な『仮説』を挙げていますが、最終的には『グレーデットアクティビティの方がコスト的に優れている』と結論しています。 もしも、『体幹のインナーマッスルの使い方の学習』が決定的に重要であれば、この結果はおかしいです。 


長くなりましたの、続きは次回に。 


今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございました。 

 理学療法士 倉形裕史 


次回へのリンク





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