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バッグ修理②

2018.09.05 23:40

前回の続き。

お客様から預かった2つのバッグ。

もう一つはダレスバッグ。

ダレスバッグというのは、1951年にアメリカからジョン・F・ダレスさんが来日した際に、持っていたバッグで、それを見た日本人が「かっけーー!俺も作ろう!」ってことで作ったバッグだから、ダレスバッグっていいます。

なので、完全に和製名称です。

日本以外では通じません(笑)

欧米ではドクターズバッグとか、ロイヤーズ(弁護士)バッグといいます。


今回修理を依頼されたダレスバッグは、アメリカで140年くらい続いてる有名ブランドのハートマン社製。

アメリカの大統領やら、イギリスの首相なんかも使っていたバッグのメーカーです。

で、今回の依頼者さんは、お父様から譲り受けたそうです。

2代にわたって使われるバッグって素敵です♪

そんなモノづくりをしていきたいですね(*^_^*)


さて、前回と同じく持ち手の修理。

いや、作り変えです。


しばらく使っていなかったのでしょう。

革が硬化して、破けています。

中の芯材も見えちゃってますね。

まずは金具から芯棒を抜いて、持ち手を外します。

と思ったんですが、棒にマイナスの溝が切られていない!?

どうやって外すんだ???

通常、芯棒にマイナスネジの溝が切られていて、ドライバーで外せるようになってるんですが…

色々悩みましたが、この持ち手の構造なら、この状態でばらせば、芯棒が見えるので、それから考えることに。

糸を切って。

べりべりべり。

ぱっかーん♪

芯棒が見えました。

でもネジっぽくない。

圧入か?

仕方ないので、棒の真ん中に金鋸で少しだけ溝を切って、マイナスひっかけて叩いたら、抜けましたヽ(^o^)丿

で、オリジナルに忠実に作り変えようと思い、この持ち手に使われている樹脂の芯材を再利用します。

巻いてある革を外し、接着剤のベタベタをきれいにし、あらたな革を巻いていきます。

と、ここの工程の写真が消えちゃったので(笑)

いきなり完成です(笑)

染色したヌメ革を巻いて完成♪

と思ったんですが、、、

完成して、しばらく置いておいたら、伸ばして貼っていた革が縮み、切れ込みが見えてしまっていました(@_@;)

考えられる原因は2つ。

・使用した革が厚かった。

オリジナルはかなり薄く、0.6mmくらいに漉いた革を使っていたのですが、僕はあまり薄い革を使うのは好きではなく、強度アップはもちろん、革を触った時のある程度の弾力が欲しいので、1.2mmの革を使用していました。

・芯材の内部に接着だけでなく、タッカーを打ち込んでいなかった。

オリジナルより厚い革を使っているので、接着だけではRの引っ張りに堪えられなかった。

芯材にタッカーで完全に固定していれば切れ目が出てくることもなかった。


でも、基本は見えないとこだし。

カバーでも作って隠しちゃうか?

ん~・・・。


いやいやいや!

見えないとこにこそ、力を入れて仕上げるのが日本の職人の素敵なところ♪

そこに一歩でも近づくためには、妥協なんかしてられないヽ(^o^)丿

急がば回れ♪


てことで、オリジナルにこだわらず、当工房で製作しているダレスバッグの持ち手と同じものを、今回のバッグのサイズに合わせて一から作ることにしました♪


うちの持ち手は芯材を使わないので、というより、芯材も革で作ります。

芯材用の床革を裁断します。

好みの厚みになるまで重ねて接着。

で、革包丁やヤスリで整形します。

ベースに接着し、真ん中の巻き革を巻きます。

真ん中に厚めの革を挟み込んで、折りたたみます。

で、革の戻る力に負けないよう、根元を縫製します。

全体の巻き革の折り返し部分を漉きます。

見える部分のコバはきっちり処理♪

巻き革を縫製します。

革がシワシワになっているのは、このあと芯に張る際かなり引っ張るので、伸びるように、内部の繊維を断ち切るためよく揉んでいるから。

芯に巻きつけたらシワはかなり目立たなくなります。

巻きつけました。

外側のキワを縫製していきます。

ここは、革がかなり厚いので、両方から厚みの半分ほど目打ちをして、両サイドの穴を丸ギリで繋いで縫っていきます。

ここが縫い終わると、巻きつけた部分がさらに引っ張られるので、シワもほぼなくなりましたね♪

あとは、余分な部分をカットし、

コバを整形し、満足するまで磨いて、焼き締めをしたら出来上がり♪

バッグ本体に取り付けて、完成ですヽ(^o^)丿

お父さんから受け継がれたバッグ。

これでまた、新たな人生を歩んでいってください♪