Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

世界大戦へ28-混迷のロシア総動員

2023.10.07 10:19

バトンはロシアに戻ってきた。露皇帝ニコライ2世は、独皇帝ヴィルヘルム2世にドイツが退いて、オーストリアを説得してくれるよう電報を打った。ところが独皇帝は「自分が戦争動員してるのに何をぬかすか」と思っていた。露政府は、部分動員では心もとないと総動員を求めていた。

ニコライ2世は、一旦総動員に同意するが、独皇帝から「ロシアが動員していると、自分がオーストリアに調停しようとしている努力が無駄になる」との電報を呼んで気が変わり、また部分動員に戻った。しかし7月30日今度は「ロシアが動員すればドイツも動員せざるを得なくなる」という強い調子の電報が届いた。

この電報でビビった露皇帝は、総動員命令に署名した、宣戦布告したとはいうものの墺帝国軍は動きが遅く、軍を一番最初に動かしたのはロシアだった。ロシアは日露戦争に負けて国内が動乱したトラウマがあり、戦争に失敗すると皇帝の地位が危ないと思っていた。

7月31日、ロシアが総動員を行ったという知らせがドイツ政府に伝わり、独皇帝は「戦争危機状態宣言」を発表する許可を与え、ロシアに最後通牒を送った。ドイツの戦争計画であるシュリーフェンプランは何年も前にできて、修正しながら生きていた。ドイツが戦争に走ると止めることは不可能だった。