かながわ芸能歳時記 「善部妙蓮寺の曲題目(きょくだいもく)」
稚児たちの見事なバチさばき
善部妙蓮寺の曲題目
(横浜市旭区/妙蓮寺/10月)
片辺の綾取り芸を披露する子どもたち
善部妙蓮寺の曲題目は、毎年10月の御会式(おえしき)に奉納されます。南無妙法蓮華経のわずか七文字のお題目に12通りの節をつけて、うちわ太鼓を打ちながら唱えるもので、江戸末期ごろ、藤沢片瀬の伝兵衛という人から伝えられたと言われています。県の指定無形民俗文化財です。
当日は、妙蓮寺本堂に作られた雛壇(ひなだん)に色鮮やかな衣装を身にまとった稚児たちが座り、長老たちの唱える題目に合わせ、左手に漆塗りのツヅミ太鼓を持ち、右手には両端に真っ赤な房のついた綾バチを持って、見事なバチさばきを披露します。
使うバチの本数で芸の種類が変わり、1本の場合には片辺(かたべ)、2本の場合には双辺(もろべ)と言います。バチのさばき方は24通りあり、それを組み合わせて演じるのです。手さばきの見た目から「綾取り芸」と呼ばれます。寺院の御会式に子どもが綾取り芸を披露する全国でも珍しい稚児芸です。
* 御会式:宗祖日蓮の命日に合わせ行われる祭り。
住所:神奈川県横浜市旭区善部町66(善部妙蓮寺)
交通:相模鉄道線「希望ヶ丘」駅からバス(系統旭18、旭88、旭90)にて 「善部第2」下車 徒歩5分
日時:2018年10月13日(土) 14:00~
お問合せ:横浜市旭区役所地域振興課生涯学習支援係 045-954-6099
善部妙蓮寺曲題目保存会 045-391-0455
●同時期(10、11月)開催のその他の祭り
初山の獅子舞(川崎市宮前/菅生神社/10月7日)
海南神社の面神楽(三浦市/海南神社/11月12日、13日)
監修:神奈川県民俗芸能保存協会会長 石井一躬
協力:横浜市旭区役所地域振興課生涯学習支援係
善部妙蓮寺曲題目保存会
写真提供:善部妙蓮寺曲題目保存会
豊作を祝い、色彩を施し、末広型に生餅を積み上げたもの「餅柱」
双辺:2本バチで演じる綾取り芸は鮮やか。特に深紅の房が空(くう)を舞い上がる様子は見事なもの