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石鎚山で崖登り

2023.10.09 06:38

アウトドアーズ・コンパス スタッフ多田です。

数年前から、秋になると1度は訪れている石鎚山の北壁(地元愛媛県西条市)。

今回のパートナーは、某山岳会の若きエースT氏(そんなに若くはない)。

初めて登った時には、ダイレクトルートをT氏に案内してもらい、フォローではあるがフリーで完登。

今回は、事前の打ち合わせでリード(トップ)で登らせてもらうことに。

その前に、カンテルートを登ることにします。私はフォローを担当。

写真は、弥山側から撮った2ピッチ目のスラブ。

以前ソロで訪れてた時にも、1ピッチ目のラインがよくわからなくて途中敗退したこのカンテルート。

今回の1ピッチ目は、T氏も未経験の、昔のトポ通りの正規ルートを辿ることに。みんなで登れば怖くない。

これらのルートも、かつてはエイドルート(※1)、初登者なのか、途中で誰かが打ち足したのかわからないけど、残置されているリングボルトやピトンを拝借してラインを探り探り辿っていくことになります。

ちなみに今回我々が行なったクライミングのスタイルはフリークライミング(※1)。

※1 エイドクライミング(このスタイルで登られたルートがエイドルート)とは、前進するのにアブミやヌンチャクなどの人工物を踏んだり掴んだりして登るクライミング。
対して、前進するのに、岩のみを使って登るスタイルをフリークライミングと言う。
もちろん、フォール(墜落)に備えてロープは支点にかけながらビレイヤーとペアで登る。

フリーはフリーでも、命綱無しで登るフリーソロとは違い、勘違いされがちである。

リード担当のT氏、イケイケ中年と言えども、途中の剥がれそうな岩や、若干濡れたセクションでは心拍数は爆上がりだったようです。

続いてフォローの私、なるほど、なんとなく気持ち悪い剥がれそうな岩塊、濡れたセクション、この辺りの泥臭いルートは割と慣れてはきているものの、慎重に進み、なんとかビレイ点到着。

続いて2ピッチ目。

序盤は、普通に落ちれそうなシビアなスラブ。しかもプロテクション(支点)は頼り無いリングボルトのみ。

この頼り無いリングボルトを中間支点として使いフリーで登るのは、賛否両論あるとは思うが、ビレイ点は信頼できそうなボルトが打たれているし、まあ死にはしないとは思うから良しとしよう。

心臓の鼓動が聞こえてきそうな、緊張感溢れるクライミング。足は若干ミシン踏んでるし、見ている方が怖い!!

間も無く核心部は抜けたようでうで、ひと安心。途中のレストポイントで、ひと休み。

その後は難なく突破し、トップアウト。

続いて私の出番。

フォローとは言えども、やはり核心部ではかなり緊張しましたが、なんとかフォールせずに抜けることができ、とりあえずひと安心。

うーん、良いルートですね。

ただ、やはりリングボルトのみでは危険、かといって、ボルトを打ち直すというのも少し違う気もする。

最近、先人が切り開いたルートに、ボルトなどの人工物を打つという自分よがりな行為が問題になっていますが、この辺は慎重に行う必要がありますね。

時刻は昼過ぎ。なんとなくお腹いっぱいな気もしますが、これで帰るわけには行かず、続いては自分の出番。

(写真は去年のもの)

1ピッチ目は、ラインもなんとなく覚えていて、すんなり登れてウォーミングアップ完了。

2ピッチ目、先ほどのカンテの核心よりはホールドが明確で、岩の状態も絶好、もちろん以前にもフォローで登ったことはあったのもあるけど、なんとなくいけそうな気がした。

(写真は去年のもの。かなり濡れていた。)

男は黙って真っ向勝負でしょ、意気込みは十分だったものの、第1核心のサイド取りで足がスリップ、フォールしたかと思ったけどなんとか指で耐えて着陸、セーフ。

仕切り直して、サイド取りは成功し、次の手のハイステップからのアンダー取りはフルリーチで指を刺したものの微妙に足位置が低く一瞬うろたえるが、日頃鍛えた体幹で、気合いで上体をあげるのに成功。

あとは慎重に落ちずに登るだけ。

近頃のトラッド経験も生かされ、こういうコーナーは慣れたもの、程なくしてトップアウト。

アンカー構築には少し手間取ったものの、フォローのT氏も難無く登ってき、無事2ルートの継続登攀終了。

お疲れ様でした。

時刻は15時。ささっと荷物を整理し、ダッシュで下山。

2ピッチのルートだとしても、それなりにアプローチも長い山系のクライミングで、ワンプッシュで2ルートを継続し、なんだか心も体も充実感に満たされてこの日は終了。

下山では、さすがに膝が悲鳴をあげかけ、体力の衰えを感じつつも、まだまだこれでは終われない、今後も精進します、と思った次第です。


石鎚山もいよいよ冷えてきました。

紅葉も色づき始め、おそらく今週末には見頃を迎えるのではないでしょうか。

石鎚山でのクライミングはそろそろ厳しくはなりますが、仁淀川などの近郊のボルダリングエリアや明戸などの高知県のスポートルート、備中・帝釈をはじめとしたスポートエリア、そして三倉岳、続いては我らが大堂海岸のシーズン到来ですね。

クライマーの皆さん、上げていきましょう。