【ブログ】移籍選手インタビュー 有田隆平[HO]
移籍選手インタビュー
有田隆平[HO]
「経験をチームに還元したい」
ヴェルブリッツの第1列に、頼もしい二人が加わった。
コカ・コーラレッドスパークス、コベルコ神戸スティーラーズに在籍していたHO有田隆平と、東京サントリーサンゴリアスから移籍したPR須藤元樹だ。ともに日本代表キャップ保持者で、前所属チームでリーグワン前身のトップリーグ優勝経験を持つ。須藤は明大からサントリーに加入した年(2016年度)に全試合メンバー入りし、トップリーグ優勝、翌年に連覇を果たした。有田は移籍1年目の2018年度に戴冠。頂点の景色はもちろん、山裾から上っていく過程を知っていることが、何よりの強みだ。その二人が今季、緑のジャージーでスクラムを組む。
有田は今年で34歳。チーム最年長となる。
「同じ世代がいません。上野隆太FWコーチが、僕が早大1年のとき明大の4年生でした(笑)」
今回、2度目となる移籍を決断したのは、前回の経験があったからだ。
「いちばんはトヨタから声をかけていただいたこと。現役を続けられる時間も少ないので、声をかけてもらえることはありがたい話。一度移籍を経験すると、新たなチャレンジをしてもいいのかなと思える」
ラグビーの盛んな福岡県出身。早大から入社したコーラには幼い頃からなじみの選手も多かった。そこで7シーズンプレー、神戸に移籍するため慣れ親しんだ故郷を離れた。
「とてつもない決断でした(笑)」
だがその決心が自らを成長させるジャンピングボードとなる。
「30歳という節目の年に移籍して、最初は不安でいっぱいでした。でも移籍するといろいろ気づける部分が多くて、自分自身が成長できる」
移籍1年目は9試合中8試合先発。日本一に貢献した。今回もまた「新しい世界を見ることで成長できる」と決断に至った。
昨年の10月にアキレス腱を断裂、公式戦に出場することなくシーズンを終えている。
「合同練習でスクラムを組んだとき、フッキングしようと片足になった瞬間に切れました」
まずはトヨタでゲーム勘を取り戻すことが先決だ。
「もちろん緊張はありますけど、十何年もやっていたら、取り戻せる自信はあります。まだ練習でラグビー的なことはやってませんが、周りを見てもポテンシャルの高い選手が多くて、“どうしてこのメンバーで優勝できないんだろう”と。ゲームウイークを体感して、気づいたことは伝えて、誰が出ても遜色のない層の厚さを作りたい。自分の経験で、チームをいい方向に持っていけたら」
コーラ時代は降格、昇格を経験。
「チームがいい時悪い時、こういうものが必要だという感覚は養えた」
177㌢102㌔の身体には、比類ない経験がぎっちりと詰めこまれている。
早大時代は主将を務めた。日本で開催されたU20ジュニアワールドチャンピオンシップの主将も務め、リーダーシップにも定評があるが、自らを「子分肌」と分析する。
「キャラクター的に親分ではない。オラオラ系キャラがいて、サポートしていくほうが性に合う。今のトヨタにはリーダーシップを持った選手がたくさんいるので、チームが円滑に回る役割を果たせたら」
トヨタはかつて兄・啓介さんもCTBでプレーしていた(現在は採用担当)。
「兄が勤めているので、昔からずっとトヨタ車に乗ってました。買い替えなくても大丈夫(笑)」
東福岡高以来という緑のジャージーで登場する日が待ち遠しい。
ありた・りゅうへい/1989年3月21日生まれ/177㌢102㌔/東福岡→早大→コカ・コーラレッドスパークス→コベルコ神戸スティーラーズ/日本代表キャップ9