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こんぶトマト文庫のふみくら

10月9日(月・祝)23時7分

2023.10.09 15:01

歯の被せ物が取れた。

フルーツ餅(駄菓子)を食べようと思ったら、この急な寒さのせいか爪楊枝が全く刺さらず、ならまとめて食べたらいいかと全部手に取り口に入れて、大きなガムを噛んでいるかのように咀嚼していたら、ガリッという音と感触があった。痛みはなかった、でも「もしかして歯が欠けたのか?」と直感的に思った。突如口の中に現れた固い物体を恐る恐る摘まみだしてみたら、銀色の被せ物だった。鏡を確認したら、やや奥の方にあったはずの銀色が綺麗になくなっていた。代わりに同じ形の空洞があった。

随分昔、恐らく小学生の頃、幼少期からお世話になっていた歯医者さんで入れてもらったものだ。基本的に歯は成長しないものとはいえ、そんな昔に入れたものがよくまぁ今まで保ったものだと思う。そもこれはどれくらい保つものなのかと調べてみたら、様々な歯医者さんのブログで「金属のものはだいたい5年」と書かれていた。5年どころかもうすぐ30年くらいになるところだったのだが。


その歯医者さんには、兄弟共々お世話になっていた記憶がある。

待合室にあった『クッキングパパ』を読むのが楽しみだった。食べる楽しみのみならず、毎日の生活の糧となるご飯を作り、身の回りの親しい人たちに美味いものを食べさせる喜びに満ちた、良い漫画だと思う。

よく想起される「歯医者のドリル音」も記憶にはあるが(あれはどちらかと言わずともルーターだよなと今にして思う)、それより鮮明に覚えているのがグルメ漫画だというのだから、昔から自分というやつはそういう人間だったのだろう。


あいにくと今はその歯医者さんから遠いところに住んでいる。数年前にリニューアル工事をして場所も少し移動したそうだ。グーグルマップで調べたらとても綺麗な建物になっていた。『クッキングパパ』はまだあるのだろうか。無い気がする。

明日、今住んでいるところの近くにある歯医者さんに行くことにした。雰囲気も良く、職員の方の人当たりもよくて、おおむね文句なしの歯医者さんだ。あいにくと『クッキングパパ』はない。


別の話。


先月金曜日から公開された、とある映画にまだ行けていない。

映画化が発表されたおかげで原作著者の作品が重版され、こんぶトマト文庫でも販売している。この漫画を売りたかった、という思いがずっとあった、念願の作品たちだ。

ただ、それだけ盛り上がっておきながら、この三連休の間に当該の映画を観に行っていない。


体調が悪かったのか。

そこまで言うほど悪いわけではない。今日はなんだかんだと終日家にいて半分臥せっていたものの、そもこの寒暖差でまともに機能している方を偉いとほめるべきだろうと思う。

時間がないのか。

確かに今週は催事を2つ控えていて、その準備も確かにある。それまでに完成させたい什器もいくつかある。でも常にそれらにかまわねばならない訳でもなく、そも夜は音や振動が出る作業が憚られるため、着手そのものが不可能である。人里をほんのり離れたところに22時くらいまで作業できる工作室が欲しいです。

就活が忙しいのか。

無事内定もらって行先決めて返信待ちなのでむしろやれることはすべて終わっている。


要は気が乗らないのか。

乗らないのだろう。気分が。そこまで遠出せずとも観に行ける場所にありながら、その「そこまで」に労力を払えない。原作に強い思い入れがある故に一種忌避感が働いている可能性自体もあまり否定できない(そういう類の読者を持つ作品だ)けど、それよりもっと直截に言えば

「今はあまり自分の愉しみを優先した行動を取る気にならない」

というのが大きい気がする。自分の時間を用いてやっているこんぶトマト文庫ではあるが、そこでの振る舞いで起こした波は間違いなく誰かの人生に及んでいる。知らず知らずのうちに、ときには確信的に。そういう行為を、気が付けばそれなりに精力的に行っている。そういうことを考えると、時々「随分と分不相応で大それたことをしているな」と自分をみることがある。多かれ少なかれ社会で生きていたらそういう側面が誰しもあるのに。


とはいえ

そこまで考えていながら「でも今は、こんトマやってるんで」みたいなこと言ってて気が付けば劇場公開終わってました、などというのはあまりにも格好悪いし、それ以上にやってることを言い訳にして自分を怠けているだけであるなとも思った。

なので上映館のうち最寄りの映画館、明日のレイトショーを予約することにした。というかブログを書く手を止めて今した。ものの見事に誰も予約していなかった。悲しみともに申し訳ない感情が一つ去来する。深夜のからっぽの映画館でひとり映画を見るの楽しみだなと。きっと上映までに誰かしらが来るのだろうけれど。