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精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

スナハラゴミムシ

2018.09.08 09:15

Diplocheila elongata (Bates, 1873) 

オサムシ科 

体長・20mm前後 

分布・本州、四国、九州 

環境省レッドカテゴリ・絶滅危惧Ⅱ類 

全身漆黒。大型で体幅が幅広く、重厚な体つきに見える。胸部は背面から見ると、後半で一番幅広くなる雰囲気の形。上翅には明確なツヤがあり、曇りがない。

日本にいるゴミムシの中では、ずばぬけて巨大な種。同時に、近年非常にまれな種としてマニアの間では一目置かれている。文献記録で見る国内での分布域は広いものの、近年確実に見出されているのは関東平野のごく限られた場所のみと思われる。

湿地性のゴミムシとされるが、きわめて移動性が強いらしく、以前いた場所に出向いても発見できるとは限らない。一定の面積のある森林に、開けた濡れ地が併設したような立地において、出現頻度が高いように思える。

生態に関してはほぼ不明。本種を含むカタキバゴミムシ亜科のゴミムシ類は、多くが左右非対称の奇妙な大顎を持っており、これを缶切りのように使ってカタツムリなど陸生巻貝の殻を破壊し、中身を食うと言われている。そこへ来て本種は、言うほど左右で大顎の形態が変わらないように見える。他のカタキバ亜科の面々とは、やや異なる食性を示す可能性もあるが、今後の調査研究にゆだねる他ない。

2000年以後公式に報告された、本種の信頼できる採集記録は恐ろしく少ない。ネット上でも長らくまともな現物画像が存在しない状況が続いていたが、2016-2017年以後突如として多くの虫マニア達がSNS等で本種の写真画像を上げるようになった。

近似種オオスナハラゴミムシD. zeelandica (Redtenbacher, 1868)。北海道から南西諸島にかけて広域に分布する。森林から畑、河川敷に至るまで、様々な環境に出現し、無印のスナハラよりははるかに普通種。名前と違い、無印のスナハラに比べて格別大型な訳ではないが、南西諸島では極めて大型化する個体が見られる。一見して無印と区別しがたいが、大顎の形が明らかに左右非対称な点、胸部が後方ではなく前方で幅広くなる点、上翅が艶消しで曇っている点などで区別できる。複眼上部の付け根から生える剛毛が2対(無印は1対)なのも特徴。


※引用文献

後日追加。